第7話にんぎょの にく

「にんぎょを つかまえた!」

という しらせが となりむらの サブロウの みみにも はいった

むらびとたちは みんな にんぎょ けんぶつに おとづれた

むらのはまには ぎせいとなった ゴスケと 3にんの おとこたち そして ゾロを かばって しんだ おトミの いたいが ならべられた おトミに ささった やは ぬかれて きものを きせられている そのほかに ゾロに やられた おとこたち すうにんが てあてを うけている 

にんぎょと いわれ むざんに ころされた ゾロは ぎせいしゃとは すこし はなれた ところに ちまみれで おかれていた 

ひとびとは しんだものたちに てをあわせた あと ゾロをかこんで おおきな わのようになって みている

サブロウは みんなより すこし おくれてきたが ぎせいしゃの なかに おトミを みつけると かけよった

サブロウ「おトミ! なんで なんで おまえが?」

おどろく サブロウに ちかくにいた おんなが

おんな「おトミちゃん にんぎょに おそわれてた らしいで〜」

と おしえた

サブロウ「うそだ!」

サブロウは さけぶと ひとを かきわけ にんぎょという ゾロを みてそばにより

サブロウ「こいつは にんぎょ なんかじゃ ない!」

と おおごえで さけんだ

ざわついていた むらびとたちが しずまった

サスケ「なにを いう このあしを みろ おおきな みずかきが ついてる ひとのすがたをして みずかき ついた あしして うみから でてきた コイツは にんぎょだ!」

サスケの ことばに みんなは うなづいた 

サブロウ「ちがう にんぎょは へそから したは さかなだ これには あしがある それに みろ」

そういって ゾロの いたいを ひっくり かえして

サブロウ「こうらがある」

と ゾロの こうらを ペシペシと たたいて みせた

サブロウ「そして これだ」

サブロウは ゾロの ながい かみのけを かきわけ あたまと さらを みせた

サブロウ「さらがある これは にんぎょじゃ ない」

サスケ「なら なんだと いうんだ」

サブロウ「うみにすむ カッパだ」

いちどう「カ ッ パ !?」

サブロウ「おれ みたんだ おとといのばん おトミさんと この カッパと ちいさな はまべで まぐわってるとこ」

サスケ「・・・・・・」

サブロウ「これ みろや」

そういって サブロウは ゾロのからだを もとに もどし その こかんから しおれて でている ゾロの いちもつを ゆびさし

サブロウ「こいつはな でかくなると ダイコンなみなんだ それを おトミさんに ねもとまで なんども はげしく つっこんで そのたびに おトミさん 『いい いい もっとー』って あええいで おれは あっとうされて こえも でなかった」

サスケ「ほんとか・・・?」

サブロウ「ほんとだ みんなも しってるだろ おトミさんの デカまん おれの なんかじゃ うみに ゴボウだ おトミさんには これくらい ないと ものたりないのさ」

サスケ「じゃあ あれは おそわれ たんじゃなく・・・」

サブロウ「もしかしたら おトミさんが おそったのかもな」

サブロウは かなしげに わらった

むらおさ「じゃが こんなに おおくの ぎせいを だして カッパでは すまされん なにか てだては?」

そのとき むらで きれものと ひょうばんの キスケが

キスケ「このカッパの にくを にんぎょじゃと いって おくったら どうじゃ」

むらおさ「この サブロウでも みぬいたのだ みやこの ものは かんたんに みやぶるぞ」

キスケ「だから にくへんを すこしだけ おくるんだ あとは うみで とらえるとき おおきなサメに よこどりされて これだけですって するのよ 」

むらおさ「それは いい おおくのものが ぎせいになった りゆうにも なる おトミには きのどくだが きゅうな やまいと いうことに」

むらおさが おトミの おやを みると りょうしん きょうだいは だまって うなづいた

サスケ「なら せめて おトミさんと カッパと おなじ はかに いれて やらねえか?」

このていあんに さんどうするものが おおかったが

キスケ「それは やめたほうが いい

ウワサは いずれ ながれる けんしょうすると やくにんが はかを ほりおこしたり カッパの ホネとか こうらを みせものや クスリだと いって つかおうと ぬすむものが でるかも しれない」

サブロウは マキの ことばを おもいだした

サブロウ「うみの ものは うみで うまれ うみで そだち うみで しぬ そして うみに かえると いったひとが いる カッパは うみにかえそう」

むらおさ「それが よいな」

こうして おトミは うみの よくみえる たかだいに カッパのゾロは ふねで おきにでて ふかみに しずめられた


ごじつ みやこに にんぎょ

の にくの しおづけが とどいた 

【くさると いけないので しおずけにし のこりは おおきな サメに おそわれ うばわれたが ただいの ぎせいを だしながら これだけは まもった】

と もっともらしい ふみが そえられている


みやこに にんぎょのにくが とどく とおか ほどまえの はなし

「どこの にくを きりとるか」

との かだいが でた

「むねにくが うまそうに みえる」

「いや ふとももが よい」

など おもいおもいに いけんを のべあったが

サスケ「どうせ くうのは みやこの きぞくさま だろ だったら こいつで いいじゃないか」

と ゾロの でかい いちもつを つまんだ

サスケ「おトミさんが ほれた こいつを きぞくさまにも おたべ いただこうぜ」

キスケ「そうだな どうせなら かわは むいて なかみだけに しよう そのほうが サメから うばったように みえるかも しれない」

かくして うみのカッパ ゾロの きょこんは 

【にんぎょの にくの しおづけ】

として みやこに おくられた


みやこに ついた にんぎょの にくを どなたさまが めしあがったかは だれもしらない


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うみのカッパ と サブロウ つゆまろ @tuyumaro

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