野良犬たちの挽歌　― Lincoln City Darkness ―

リンカーンシティという、企業とマフィアに支配された無法地帯を舞台に、赤いコートの女探偵テレサと、ショットガンを手にした大柄な相棒ランドルフが繰り広げるサイバーハードボイルド。
死体が転がる街で「野良犬」として生きる二人は、時に鎮魂をこめて十字を切り、時に不味い代用コーヒーをすすりながら、依頼のために奔走する。

失踪人探しから、猫探しまで──この街ではどんな小さな依頼も命懸け。
常に割り切りと情のはざまで揺れるテレサ、皮肉と見栄を張りながらも相棒に徹するランドルフ。二人の掛け合いが、荒廃した都市に確かな温度を与えてくれる。

ジャケットに空いた風穴も「お洒落」と笑い飛ばすような、乾いたユーモ…続きを読む

攻殻機動隊やAKIRA、そしてニンジャスレイヤーなどが好きな人にはこのサイバーパンクな世界観はたまらないでしょう。
法と権力は巨大企業が独占し、薄汚れた世界ですらマフィアが幅を利かせる、命の価値が軽い無法の街。
ゴミ溜めといっても差し支えのない退廃的で閉塞感漂うそんな世界で、僅かばかりの報酬――それですら現物支給――のために、割に合わないドブさらいをさせられる。
そんな仕事の労力を慰めるのは、泥水のような味のコーヒーと、灰を汚す安煙草、そして皮肉めいた冗談を叩き合う相棒。

良いですね、実に雰囲気が出ます。
街の雰囲気にすっかり染まりきった二人のスレた会話からしか接種できない、苦くて濃い成分…続きを読む

めがウザのサイバーパンクな世界観を活かし、さらにハードボイルドをマシマシにした酒とタバコの匂いが漂ってきそうな雰囲気が読む人を魅了します。

探偵というこの世界の最後のセーフティネットと言える者たちが繰り広げる物語を、あなたも堪能してみてください。