凍りついた夏に咲く、二人だけの焚き火
- ★★★ Excellent!!!
地軸が反転し、八月が氷の世界になった――そんな極限の舞台で、二人が果たす「夏の海へ行く」という約束。
雪原に突き立てられたビーチパラソルと、凍った波打ち際というアンバランスな光景が、かえって彼らの絆を鮮烈に浮かび上がらせます。
季節も海も世界も裏返ったのに、寄り添うぬくもりだけは揺らがない。
ラストの「新しい冬の産声」という表現が、寒さと希望を同時に響かせ、読後感を静かに沁み渡らせてくれました。