次章に寄せて
「………どうしたの、an/bdpb?”?」
「………夢を、見てた。」
ただの水滴が、目から溢れてきた。脊椎反射で。
「………そっかぁ、リブ、死んじゃったんだぁ。」
「?」
でも、本当にそれはただの水滴だった。
「かわいそうに。」
「はい、終わりましたー。とどめ刺すんで、一旦通信切りますからねー。」
「ひっ………」
血に濡れたカジノセンター。笑顔の男が近づく。
「た、助けてくれ。誰にも言わない。頼む………」
「無理。任務だから。」
「ま、まともじゃないだろ、お前………!」
顔を掴んだ。そして、首元に凶器を突きつける。
「これでも、まともに見えるの?」
「怠………。」
「………」
返答は返ってこない。彼は独りだから。
「まだ、いたのか。」
Un−Hopesが、彼に近づいて。彼はまた動き出す。
「殺してやる。」
「死んだの?」
「えぇー、あの人の顔ちょっとタイプだったのにー。」
笑う者。黙る者。でも、泣く者はいない。
「弱かったんだね、やっぱあの人って。」
「………いや、強い。」
一人だけ。顔を青ざめる者。
「相手が強すぎただけだ。」
「お前は、人を殺せるか?」
「………」
生きるため。生かすため。彼は頷くしか、なかった。
「お前は確か、少年兵らしいな。」
「………だったら。」
「まあまあ、ところでUNOの社長の名前が割れたらしいのだが………」
名前を告げられた瞬間、彼の瞳に大きな闇が宿った。金色の歪なピアスが、風に揺れて妖艶な光を反射した。
「行ってきます。」
一人の少女が、家を後にする。耳には、新しくピアスが赤い光を放っていた。
『絶対守る。』
その言葉を、彼女は信じた。だから戦う。これからどんなことに巻き込まれても。
「絶対、大丈夫。」
「………これは、やっぱり聖さんが持っててください。」
「………これ。」
リバース・アウフタクトが残した写真。そして、銀色の指輪。
「聖さんが持っていた方がいいと思うんです。」
理由は言わなかった。でも、確信はあった。
「………さようなら、お母さん。」
初めて彼は、その言葉を口にした。誰のものでもない、共同墓地の前で。スノードロップの花を添えた。
その花が、彼の挨拶だった。
「ねえ、もうこれとっていいかな?」
「え、でもそれは変装の………」
「ヒゲくらい剃ったってことにすれば大丈夫でしょ。」
あの島から、犯罪者を輸送する船の中のこと。一つの影が、動きを見せた。
「an/bdpb?”のやつ、どうしてウザめで日本語下手くそなアジア人って設定にしたのかな。」
「社長のことですか?」
「うん、そう。しかし、多芭田聖があんなに強いなんてねー。………それに。」
手錠をつけたまま、自らは自由であるかのように、伸びをした。そして、鉄格子の間から、あの島の影を見つめる。
そして、微笑んだ。
「やっと会えたね。蛍沙架未来。」
Un−Hopes Island 蒔文歩 @Ayumi234
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