ミステリアスなタイトルに惹かれました。きりっとした文語旧かなの短歌が並んでいます。心の奥底にまで言葉が滲んでくるような、幽玄の世界観が魅力的です。少年、母といった登場人物、凍蝶、渡り鳥、キリンといった動物、そこに肌、肋、掌、背といった体の部位が絡み合って、得も言われぬ耽美的な空気感を醸し出しているのです。どの短歌も、好きなのですが、特に良いと思った2首を紹介しておきましょう。母の掌に死にし凍蝶しづやかに月が陽の反照を注ぎきとほくとほくあなたへ雨のおと聴かすための仲間はづれの渡り鳥
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