圧倒的な音楽の渦の中の夏

主人公の蛍君は幼い頃からピアノを続けている。だが、高校1年生になり進路を意識して決めなくてはならない年齢になり、焦りを感じています。

防音室に籠もりピアノを弾く日々。天窓から見える切り取られた空だけが圧倒的な夏を感じさせている。

そんな時、クラスメイトの山背さんがピアノを聴きたいと言ってきて変化が訪れます。

ただ、ただ圧倒されました。
本物の夏と、まがい物の夏。でもそのまがい物が大好きで、まがい物の夏を全身全霊で謳歌しようと変化し決意するというところが、とても良かったです…!

「毒々しいほど鮮やかな色合いのゼリー菓子、舌が真っ青になるかき氷、果物以上に果物っぽいかおりがするアイスキャンディ」
この比喩もとても素敵で好きだなあと思いました。


方言であることも物語にアクセントを添えていて、リアルな青春を感じました。

今後の彼らがどういった道を辿るのか、とても興味深いです。
筆致も見事です。
圧倒されました…! 素晴らしい物語をありがとうございました…!!

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