夏の瞬き

黒中光

夏の瞬き

青々と 稲穂の並ぶ 水盆に 朝陽を浴びて 男がひとり


水無月の 熱気にうだる 我が部屋を 世はつゆ知らず 暦くるいて


夏の夜の 焼ける痒みに 目を覚まし 憎しみ募る 小さな羽音


照りつける 陽射しに焼かれ しじみ砕き 磯の薫りに 懐うおもう過ぎし日


鮮やかに 雲が沸き立つ 空遥か 青に魅入られ ただ立ち尽くす


クーラーで 冷やされ元気 取り戻す 時計が示す 午前零時を


青アサガオ 涼しき朝に 咲き誇り 暑き夕べに 骸を晒す


夜目覚め サウナにいると 錯覚し 眠らんとすれど 眠気は彼方


鉢に実を 植えて育てし 南天を 焼き枯らす夏 如何にもならず


夏の日に 平和祈ると ほざけども 止めようとせぬ 情けなきこと

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夏の瞬き 黒中光 @lightinblack

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