気付いても忘れていくし

でい

気付いても忘れていくし

落ちましたよと渡されて感謝する 世帯しょたいじみた見知らぬレシート


清楚っぽいと油断したマスクの下 鼻ピあけてた 輪っか光る


「寒いだろ」導く化繊コートのポッケ 小銭とガム 冷たい指


早とちりで押してしまった道中 生贄を祈る降車ボタン


気の置けない距離感の君がちぎったクリームパンの端のはじっこ


刺さなくていいかと思う程度の小雨 続くかれこれ帰宅の路


背後から裾にぎられてキュンとなる ゆうべ、自宅トイレのドアノブ


指さす碧空うさぎ雲「見て見てまるい」胴体ふと裂けてゆく


ただよう 一方はスポット当てられて うらやむ孤独なミズクラゲ


独立型VR重すぎたヘッドセット まだ現実でいいや

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