君を見ていただけの夏の終わり

宝積 佐知

君を見ていただけの夏の終わり


 メールには ぜんぶ絵文字を 使ってる

 わたしじゃなくて その子のときは



 三番線 発車のベルで あくびして

 言いかけたこと 押し返された



 机ふたつ あいだに置いて いる距離が

 名前よりずっと 遠いきみまで



 だいじょうぶ わたしもとくに 好きじゃない

 ってことにしてる 水筒の味



 手首から 日焼けのあとが まっすぐで

 言い訳みたいに まぶしいきみは



 小さくて だいじでない日が 積もってて

 今日も世界は 忘れられない



 うしろから 名前を呼ばれたふりをして

 振り向くことで 終わるのを知る



 もういいや 好きな人とは 話せない

 わかってるから 続けたかった



 告白の 手前で全部 こぼしたの

 ひとくち多い アイスのあとで



 好きでした ぜんぶ未遂で 終わっても

 あなたがいたら 夏になるから

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君を見ていただけの夏の終わり 宝積 佐知 @mk-uwu

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