美しい言葉で綴られる、愛の物語。是非お読みになって下さい。
- ★★★ Excellent!!!
物語は、武家が政治や軍事の実権を握り台頭し始め、公家は家格から産まれていたその権威を緩やかな斜陽に迎え、文化人としてのその才能を改めて開花させる頃。政情は不安であり、まだまだ戦乱の時代。
ささやかな異能を持つ姫・澪咲(みさ)は、その戦乱を避けるための道具として、力をつけ始めた辺境の国、貴鞍(たかくら)の当主暉賢(あきまさ)と、5つもの条件を突き付けられた、一年間の契約ありきの側室としての結婚に臨むことになる。
冷徹な暴君と恐れられる暉賢(あきまさ)が治める地に、これも運命と覚悟を決め、澪咲(みさ)が供回りも無く一人牛者を走らせるところから物語は始まります。
そうして訪れた貴鞍(たかくら)の地で、侍女の舞純(ますみ)や暉賢(あきまさ)の一人息子である暉幸(あきゆき)をはじめ、家臣達も澪咲(みさ)の常春の様な暖かい心に次第に惹かれていきます。勿論、暉賢(あきまさ)も。
その過程を書く描写は美しく、まるで絵巻を見るかのように思い浮かべることが出来ました。幾つか私が好きな場面があるのですが、絵葉書にしたいくらいとても素敵です。
本当にゆったりとした、心地良い早さで語られる物語は、タイトルにもある花産霊という言葉をキーワードにして、徐々に動き出していきます。
次第に近づいて行く二人の仲は、見ていてもどかしいほど。タグの「じれじれ」も納得です。作者様の掌で思うがままに転がされてしまいました。
美しい言葉で綴られる、愛の物語。
是非お読みになって下さい。本当にお勧めです。
素晴らしい物語を読ませて頂いた作者様に感謝を。