ファンタジー世界で語る怪奇譚という融合

「人間の手を持つ奇形の魚」という導入。
怪奇譚の王道でありながら、そこに騎士と学者の調査隊が登場することで異世界ファンタジーの文脈が加わって、グッと世界観が広がるような印象がしました。

また、調査が進むにつれて、村の実態が徐々に明らかになる様子は、ミステリー的な緊張感もあって、読みながら考えさせられました。

全体的に、ベリルとキリエの会話が、物語のトーンを冷静で理知的な雰囲気でまとめていて、彼らの冷静なやり取りが、逆に異常事態の不気味さを際立たせる効果を生み出しています。

ファンタジーと油断した読者を冷たい海に引きずり込むような、じっくりと緊張感と不安感に浸りたい人にオススメです!