第4話
除霊してもらってからしばらくたち普通の生活を送っていた。今日は休みということもあり遅めの朝食をソラととった。特にやることもなく部屋の掃除をしてゲームをやっていた。
ヴヴヴヴー するとスマホがなり画面を見ると知らない所から着信が来た。普段なら面倒で出ないのだがしばらくなり続けしぶしぶ出ることにした。
俺「はい!もしもし」すると女の声で「突然の御電話すいません、わたくし阿久津総合病院の林と申します。」
俺なぜ?病院からと思い「はい。」と空返事をした。
林「お知り合いの辻山様が交通事故で先程なくられました。」
俺「え!辻山がですか?」思わす息を飲んだ。
林「はい身元確認のため失礼ながらスマートフォンの直近の着信履歴を拝見しました。それで安岡様と数回やり取りをされていて身内の方もしくはご友人でしたら御足労ですがこちらまできて身元確認をしていただけないかと。」
俺「ええもちろん行きますとも。辻山の両親は連絡つかないのですか?」
林「他のスタッフが辻山様のスマートフォンを調べているので恐らく連絡が行ってるかと思います。」
俺「まぁどちらにせよ今行きます。」
林「ありがとうございます。正面玄関は休館のため開いてませんので脇の守衛室からお入り下さい。それでは宜しくお願いします。」
俺「はい、失礼します。」といい電話を切った。
あまりの急な知らせで現実感もなかった。ただあの香炉の霊が復活したのか、たまたま運悪く事故に遭ったのか考えこんでしまった。
俺はタクシーを呼び阿久津総合病院へと向かった。渋滞もあり中々進まず40分程で着いた。
院内に入り霊安室へと案内された。中には白い布を顔にかけられ動かなくなった辻山とそのご両親がいた。母親は泣き崩れ、父親の方は呆然と立っていた。俺は会釈をし「恐れ入ります。辻山君と仲良くさせていただいていた安岡と言います。このたびはご愁傷様でした。」と親父さんの方に挨拶をした。すると親父さんは「ああ、友達なのかいわざわざ御足労頂いてありがとうございます。」と返してきた。俺も現実味がなくお線香をあげて今後葬式の話など予定を聞き病院を後にした。
その後、タクシーで海星神社に向かっていた。俺ももう危ないあの二人みたいになりたくないと思い急いで神主に会わなければと焦っていた。
神社につきダッシュで階段を登り神主を探した。ゼェゼェと息を吐き顔を上げると神主が目の前にいた。どうやら状況を察したらしく俺の顔を神妙に見つめていた。
神主「貴方に直接香炉の霊ほ憑いていないがその様子だとかなり良くない事態ですね。」
俺「ああ、先程友人が亡くなり身元確認とその親族に会ってきました。」
「次は俺がやられる!神主さん助けて下さい!」と頼み込んだ。
神主「とりあえず桐の箱どうなってるか見てきましょう。」
俺達は境内の裏に回った。なんと俺と辻山が埋めた穴が掘り起こされていた跡があり、埋めたはずの桐の箱がなくなっていたのだ。
神主「そんな!いつの間に?」 俺「一体誰が香炉を持ってたんだ!」
神主は「一旦本殿でお祓いしましょうと」声をかけてくれた。
外は薄暗くなり、不穏な空気を感じていた。ただ神主に会えたので少し気が楽になった。神社の階段の方まで行くと参拝客と思わしき女性が立っていた。だが様子がおかしかった。階段を登りきった所から一歩も動かず棒立ちしてこちらを見ているようだ。そして脇には何か荷物を抱えているようだ。
「あれ?香菜!」、そこに立ってちいたのは香菜だった。手に持っているのは俺と辻山が埋めたはずの桐の箱だった。俺は「おい!それどうしたんだなんでもってるるの?」と聞くも香菜は答えない。目の焦点も合っていなかった。すると男と女の混じったような声で香菜は「よ、ヨジオ探してるのはコレ?ケケケケケケ」と発していた。あまりの気味の悪さに俺は固まってしまった。後ろから神主が走ってきたのが見えたので俺は半泣きになり震えながら「助けてくださぁい」と絞り出した。
神主は「まだ食事の時間じゃないんですけどねぇ。こうなったら猫様達に助けてもらいましょう。」とホイッスルを吹き出した。ピーピーピーと音を出していて、俺は神主をこんな時に何をと睨みつけた。だがその音を聞きつけて木の茂みと階段の下の方から沢山の猫が集まってきた。そして神主はポケットから猫用のカリカリ餌を出し豆まきのように香菜にぶつけていた。
俺「ち、ちょっと何やってんですか?」と慌てて止めようとした。猫たちはカリカリと香菜に向かって飛び掛りその拍子に香菜は転倒してしまった。俺は猫を引き離そうとしたが、神主に「待ちなさい猫様達に任せるのです!」と制止されてしまった。
しばらくして猫たちは満足したのかその場を去っていった。俺も香菜に駆け寄り「香菜!大丈夫か?」と声をかけた。神主「もう大丈夫ですよ猫様達が香炉の霊を退治してくださいました。」
俺「本当ですか?カリカリ食べてただけじゃあ?」 神主「確かにご飯は撒きましたがそれと同時に悪霊の魂も食べてしまわれたのですよ。」
「前に言ったように猫様は神の使いもしくは神様と同等の力を持っていると、ただ気まぐれですからねカリカリで誘導しました。」
一約2時間後、香菜が目を覚まし。俺と神主は事の顛末を説明した。神主にはお礼を言い後日謝礼を持っていくことを約束し香菜と一緒に帰ることにした。
香菜は土を手で掘ったので指の皮が剥けていたのと猫のかじった後、引っ掻いたあとが少し残っていた。俺は「ごめん巻き込んで傷痛いだろ?」と聞いた。香菜「ううん手はつめ先とか痛いけど猫につけられた傷はそんなに痛くないよ。」と答えた。
しばらく沈黙が続き別れた事もあり気まずいじかゆが流れた。香菜「私上司と別れたんだ。何か違ったみたい。それに妻子持ちだったの。」と唐突に語りだした。俺は「そうか」とぶっきらぼうに答えた。でも色々な考えが試行錯誤するやり直したいのもあるのと今回の香炉の霊と友人の死、頭の中で整理がつかなかった。俺「まぁ、その良かったら時間ある時ソラを見に来てくれよ何せ持ってきたの香菜なんだからさ。会いたいだろ?」と繕いながらも探ってみた。すると香菜は顔が綻び嬉しそうに「義男、本当?ありがとう!今度ご飯持ってくね」と言ってくれた。
俺は何だか早く帰ってソラに会いたくなった。今日は高級な猫缶を買って帰ろうー
猫様は気まぐれ @yakigo
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