第3話
カフェヨネダを後にし徒歩で神社に向かった。歩いて20分くらいだろうな。歩きながら少し話をした。
辻山「俺と桐原でさ心霊系の動画作ってたん
だ。」
俺「へぇーそんなことしてたのか。」
辻山「本当はさお前も誘おうと思ってたんだ。でも義男そういうの興味なさそうだったから黙ってたんだよ。」
俺「うーんどうだろうな。それで急に心霊スポットに行くって話になったのか。」
辻山「まぁな再生数もチャンネル登録者数も増えてきてテコ入れでさやっぱり少し目立つことをしようと思っちまったんだ。」
俺「あの日、桐原とお前だけ香炉を持ってきたの知ってたわけだ。」
辻山「違うよ、帰って動画編集する時に桐原に見せられたんだ。何これって感じだったけどな。」
辻山「でもかねりの視聴者がさ動画にあげた香炉を見て今すぐお祓いした方がいいかもてコメント残しててさ。」
俺「動画越しでも視える人は視えるのかな?」
辻山「そうなんだよ、それからまもなくして霊障が始まって俺の首をしめたあとや足首にあさができたりと続いたんだ。」
と会話をしているうちに俺達は神社の前に来た。石段を登ると神主は居らず、本殿の方まで入ることにした。
お邪魔しますと声をかけ引戸を開いた。奥に神主の姿が見えた。
神主「おや?この前の安岡さんでしたか。どうされました?」と声をかけてきた。
俺と辻山は事情を説明し香炉も見せた。話をきくと神主は険しい表情を浮かべた。
神主「まずその香炉は自殺した者が何らかの呪いをかけたのでしょう。拾ったものを苦しめるような・・・貴方がたに恐ろしい黒い塊がついてるのはっきり視えます。」
神主「いいですか。泉原高原の遺留品は警察ですら恐れて必要なもの以外回収しません。警察は専門のお祓い師、私なんかよりも霊力のある人を連れていくのです。それを素人の貴方がた持ってくるのはもってのほかです!」
辻山「そんなに恐ろしいものだったとは。お願いします。ついてる霊を祓って下さい。」と懇願した。
神主はため息をつきながら「時間ももうないし一刻を争います。今回は大変危険なので御一人十万円頂きます!」と厳しい口調で言った。
神主「私は準備がありますから貴方がたは外を出て神社の裏に行ってて下さい。すぐ行きます。」
俺と辻山はスコップを持たされ神社の裏に回った。神主からは50センチ四方の深さ1メートル位の穴を掘るように言われ、二人で穴掘りをしていた。穴掘りを終え表に回ると神主が香炉を火に焚べていた。白袴を着て手には儀式で使う白い紙の着いた棒を持っていた。祓串というらしい。
辻山「本格的だなぁ義男、やっぱ来て正解だったな」と少し興奮していた。
俺「切羽詰まってるのにお前余裕こいてんなぁ。」と不思議とお互い余裕が出来ていた。
神主が▲〇☓✩#と唱え、祓串をふりその動作は一時間にも及んだ。俺と辻山はホースを引っ張ってきて水で火を消した。灰の中からは焦げ付いた香炉が出てきて、ただの鉄屑となっていた。神主は火バサミでそれを拾うと、用意していた桐の箱に納め蓋を閉めて封と書かれた札を貼っていた。
神主「お二人でこれを先程の穴に埋めてきて下さい。」と箱を手渡された。
少しして埋め終わり、神主からどうなったか聞いてみた。神主「お二人に憑いていた悪霊はもう見えません。はっきりとはわかりませんがもう大丈夫でしょう。」とややあいまいな説明をした。
俺「完全に祓えたのでしょうか?」
神主「それはなんとも言えません。封印を施しはしました。弱っているのは確実で心配はないと思います。」
辻山「じゃあ、もう普通の生活を送れるのですね?」
神主「はい!ただこれからも油断することもなくましてや肝試しなど危険なことはおやめ下さい。何かまた御座いましたらすぐにご相談下さい。」
俺と辻山は神主にお礼を言い神社を後にした。
辻山「義男、本当に助かったよ。あと彼女さんあの神社知ってたからそのおかげだな!」
俺「ああ、まぁもう彼女じゃないけどな。」
辻山「なんだよ別れたのか?」 俺「まぁな。」
辻山「そうか。流石にもう一人分の十万は払えないけどお礼に今度飯奢るから、なんか行きたい店あったら言ってくれよ!」とあてのない約束をして、俺達は帰路に着いた。
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