Thread 08 エピローグ|託す者(終)
最近、職場で話しかけても、返事がないことが増えた。
周囲の空気が、俺をすでに“いないもの”として扱い始めている。
──次は、自分の番だ。
もう、そう確信していた。
だったら、俺は誰に“種”を残したんだろう。
誰の中に、俺の記憶は残るんだろう。
そんなことを考えていた矢先。
「先輩、おはようございます!」
明るい声が、背中に飛んできた。
振り返ると、岸本のいつもの笑顔があった。
──あぁ、次はこいつなのか。
無邪気に話し続ける姿が眩しくて、目を逸らした。
俺の存在は、種は、もう彼の中に落ちてしまった。
そのうち彼も、“気づく”んだろうか。
それとも、無事にやり過ごせるんだろうか。
その答えは、もうすぐわかる。
終
[ThreadStory] 絶対に気付いてはいけないオフィス怪談 ~消えた同期の謎~ 風光 @huukougensou
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます