Thread 08 エピローグ|託す者(終)

最近、職場で話しかけても、返事がないことが増えた。

周囲の空気が、俺をすでに“いないもの”として扱い始めている。


──次は、自分の番だ。


もう、そう確信していた。

だったら、俺は誰に“種”を残したんだろう。

誰の中に、俺の記憶は残るんだろう。

そんなことを考えていた矢先。

「先輩、おはようございます!」

明るい声が、背中に飛んできた。

振り返ると、岸本のいつもの笑顔があった。


──あぁ、次はこいつなのか。


無邪気に話し続ける姿が眩しくて、目を逸らした。

俺の存在は、種は、もう彼の中に

そのうち彼も、“気づく”んだろうか。

それとも、無事にやり過ごせるんだろうか。


その答えは、もうすぐわかる。



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[ThreadStory] 絶対に気付いてはいけないオフィス怪談 ~消えた同期の謎~ 風光 @huukougensou

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