夏のまぼろしと、君のいない世界。
- ★★★ Excellent!!!
ごるんごるんと転がる感情のかけらたちが、短歌という小さな器に美しく収められていて、読むほどに沁みてくる作品でした。
痛みも、風景も、時には不思議な笑みも。
夏という季節の中に、人の心の揺れが幾重にも重ねられていて、読むたびに違う顔を見せてくれます。
その一首一首は、まるで雨のあとに訪れる、静かな光の余韻のよう。
欅が枝を伸ばすように、そっと差し出された言葉たちは、読む人の中にやさしく根を張って、やがて虹の卵が孵るまでの時間を共にしてくれます。
素敵な十二首を、ありがとうございました。