七月七日の寄宿舎

※擬人化百合です（織姫と彦星モチーフではありません）。
ベガ・アルタイル・デネブという星たちの少女たちの、夏の夜空で交差する静かな百合物語です。

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七月七日。
天球の寄宿舎で、星たちは人の姿になる。
それは、地球から見上げられることで叶う、わずかな間の再会。

ベガ、アルタイル。そして私──デネブ。
けれど、毎年きちんと揃うとは限らない。
ベガが来ない年もあった。
アルタイルが傷を負ったままの年もあった。
空が曇って、誰にも見つけられなかった夏もあった。

でも私は、ここにいる。
揃わない三角のままで、
それでも彼女たちを思い続ける者として。

ふたりを見守る私の気持ちは、誰に知られなくてもいい。
ただ、星たちの夏が少しでも穏やかであるように──
私は今日も天球場に立つ。