GINGER

高橋寧

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薔薇のジャム溢れるほどに一瞬の力ですべて信じてみせて


八月を八回ループするような熱狂、二○○九年の波動


近づくにつれて海から遠い匂い 夕立はその中心に立つ


鴎の記憶だから知れない八つ裂きにされた入道雲の行方を


泳いで泳ぎ疲れて眠る SELFISH 夜の好きにはさせないつもり


月よりも椿の誠実さについて話そう うなじの裏を濡らして


腐敗した夏のどこかで屍になっても皮肉ばかり ごめんね


仄暗い秘密を明かすとき喉の底から蝙蝠たちが飛び去る


さよならは花に嵐のストレートフラッシュ そして夜は終わった


自画像の赤らむ頬が痩けていくこれからをいまから思い出す

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