ウメボシ

夢月みつき

本文「ウメボシ」



 深夜のとある路地裏を私は一人歩いていた。

 すると、街灯がチカチカと点滅し始める。


 一瞬、フッと明かりが消えた。

 とその後、明かりが灯る。しかし、街灯の真下に赤い物体が現れていたのだ。


 それは、赤くてシワシワの果肉たっぷりの梅干しだった。

 梅干しに目と口が付いていたのだ。


『ウメ――!!』


「キャーッッ!!」


 梅干しは一声叫ぶと私を追いかけて来た。

 全速力で逃げ惑う私、それを追いかける人面梅干し!


 追いつかれる!そう思った時、そいつは、自分の梅干しをちぎって私の口、目掛めがけて思い切り投げつけて来た。


『ウメ――!!』


「ぎゃー!スッパーイ!?」


 気が付いた時には、私の顔は梅干しの酸味で酸っぱい顔になっていた。

 みなさんも深夜に現れる梅干しにお気をつけ下さい。


 一週間、酸っぱい顔が治りません。


『ウメボシ――!!(にやり)』



 終わり




 ★☆∴─────────────────────────∴★☆

 最後までお読みいただきありがとうございました。

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