感想文
して、やって参りました。この季節。夏休みムードが、窒息しそうなくらい流れている。
中学生とは想像よりもはるかに以時の流れが早いもので、自尊心を失いかけながらも必死に生活を続けた。思春期とは気味の悪いことで、頭の中で独り言が止まらなかったり、それが原因で体力が無くなってきたりする。
他のことはそっちのけで手付かず。僕は両親が恐れていたことを見事に実現してしまった。あの日読んだ物語が元凶で、僕のパラレルワールドに依存してしまった。
僕はあの日から筆を握ると、駄目だ。駄目だと。あの人、律君、彼みたいに、彼のような文章が書けない。そうやって頭を掻き毟った。数百文字、読み物において数文字程度の存在なのに、彼と何故こんなにも惹き込まれ方が違うのか、誰よりも彼を理解しインプットしてきたのに、どうしてこうも難しいものなのかと、頭を悩ませた。
夏休みの課題として、作文の執筆が求められた。項目はいくつかあり、読書感想文、随筆、意見文、物語文など、好きな文章を書くことが出来る。そのため僕は一番得意とする随筆を選んだ。
自身の経験を文字に起こすという手法が一番書きやすい。殴り書きといった僕の小説は、ただの日常をリアルに書き、いかに読者を落とし込めるかを追求し続けているから、何千人の作品の中でもスキルで選ばれやすいと思ったのだ。
けれど、やはり理想を求めすぎて手が震える。絵や工作、勉強や運動、全て同じで、上手くいかないと何もかも全て投げ出したくなる。今日こそは書こうと決めていても、疲労で予定より深く眠ってしまうことも多々あった。
僕が憧れたのは、かつて、あの時代で文豪として生きた彼等の、「雅び」と「毒」などの独特なエロスが胸をえぐったからだった。
そして律君は彼ら特有の文学をすでに極めていた。だから惚れた。だから嫉妬した。
その日は本題の随筆のテーマがなかなか決まらず、しかし手が止まらなくてオリジナル小説を沢山書いた、短編のものを、何作品と。そして公開した。もちろんすぐに反応はつかず、けれどそんなことすらどうでも良く、とにかく僕は書いて書いた。
頭に血が上った気分だった。だが、一件のメールで、僕の頭は冷却された。
哀れな終焉 宮世 漱一 @soyogiame-miyako2538
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