ある日漫画を読んでいると、窓から変な奴が入ってきた。
「よぉ人間。お前の一番大切なものはなんだ。」
僕は少し悩んで答えた。
「…battle!mangaの初版かな。」
「え、親とかペットじゃないの?」
「普通こういう時答えるもので相場はそこだろ。」
「いやプレ値で五千円だぜ?当時の定価千円いかないのに貴重だろ。もう発売してないんだからな。」
「親不孝なやつだな…」
「というかわけも分からない奴に一番大切なものは何かって聞かれた時に、万が一壊される殺されるなんて事だったらリスクがあるし、そっちの方が親不孝だろうが。」
「まぁ…」
「ちなみに身内って答えていた場合はアンタにはお決まりのセリフがあるのかい?」
「家族を失いたくなければ、この契約書にサインしろ。契約したら永遠に俺様が憑き、地獄に落ちることになるがな…って。」
「じゃあ僕の場合は?」
「…大切な漫画を失いたくなければ、この契約書に…以下省略ってところだな。」
「battle!mangaの初版ね。やり直し。」
そして死神はため息をついて言った。
「お前は漫画を消されるって事でいいんだよな。」
「いや?契約、するよ。」
すると死神は「は!?」っと大きな声をあげて言った。
「嘘だろ?そのバト…なんとかってやつごときで?…お前死神がどんなものか知らないからそんなこと言えるけどな…死神は__」
「知らないから契約するんだよ。」
「…はぁ。お前みたいな人間は初めてだよ。」
僕は肝心なことを聞いてみた。
「ちなみにbattle!mangaに手を出さない保証は?」
「特にないな。」
「おっけ。じゃあもしアンタ死神がこれに触ったら僕がお前を殺す。」
「それかアンタを利用して荒稼ぎする。ノーベル賞でも取るわ。」
「どっちが死神だっけ。…まぁいい。もし触れた時はお前の好きにさせてやる。」
「よし。じゃあ契約書出して。」
「よろしくな。死神。」
「あぁ。…名前は相澤直人か。俺はアヌビス。」
「え!battle!mangaの魔術師の名前と同じじゃん!」
「直人、今度それ読ませてくれ。」
「触らせねぇつったじゃん。DVDでアニメ版見よ。」
さて、ここからの死神は僕の青春に、僕は永遠に死神の暇つぶしに付き合わされることになったって訳。