夏の色たちへ

『ひざこぞう 伸ばしもできぬ からっぽを 見上げてた空 クラゲ色になる』

目を引く結句の『クラゲ色になる』。

クラゲ色とはどんな色なのかを考えた時、青だったり、蛍光色だったり、虹色だったり。もしくは、白や半透明かもしれません。

クラゲは食べ物や住んでいる地域、当てるライトの色によって体の色が変わる種類もいます。
このクラゲの様子が三句の『からっぽを』をより際立たせているように思えました。

どこにもいく気になれずに両膝を抱えながら、空を見上げることしかできない。『クラゲ色になる』のは空か、自分か、はたまたどちらもか。

何色なのかを強く主張しない『クラゲ色になる』は、時間帯によって色を変える空と相まって、読み手それぞれの映像に優しく広がるように色付いていくようです。

深みが増す魅力的な結句が使われた歌でした!

この他にも夏の匂いを纏った、ストーリー性も感じさせる歌たちで構成された連作。是非、お楽しみください。

素晴らしい作品をありがとうございました。

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