母の横顔
ムスカリウサギ
母の横顔
夏が来る 蝉がなくたび 思い出す
涙とお香と 母の横顔
――
もくもくと 煙の向こうに ハゲ頭
静まり返って ぽくぽくぽく
つまらない わめく僕を見 困り顔
母の頬には 一筋の跡
――
幼き日 己を恥じて 苦笑い
遺影の向こうで 母は笑ってる
――
病室で 蝉の合唱 じわじわと
静かに微笑む その頬に触れる
写真など 嫌いな母が 残してた
一枚の写真 横顔の写真
あの頬を 流れて行った 雫の意味
考えるとまた こぼれる雫
――
仏壇に そっと遺骨を 安置して
おかえりとだけ 声をかけた
――
子が一人 母の墓石に 手を合わす
お香とともに 想いは空に
水鉢に 光ちかちか 差し込むと
供えた仏花が はらりと揺れた
母の横顔 ムスカリウサギ @Melancholic_doe
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