五十八年目の「愛してる」

青と白に染まる静かな島。
その小さな街角の喫茶店で、
今日もふたりの老婦人が向かい合う。

冷たいアイスコーヒー。
香るローズマリーのティー。
交わされるのは、どこか懐かしく、
どこまでも優しい、けれど少しだけ切ない会話。

誰かを喪い、病に蝕まれ、
それでも笑い合おうとするふたり。
寄り添い、ぶつかり、泣いて、また手を取り合う――

写真館、教会、そして一枚の古びた写真。
時の流れが何もかもを変えていく中で、
変わらずそこにあった「友情」という名の愛。

これは、恋よりも深く、
血よりも濃い絆を描いた、
ふたりの老婦人の、たった一日の小さな物語。

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