自己評価低めの女の子が処方する最高の良薬。薬の苦さはヒロインの暖かさ

自己評価低めのヒロインが、万能なイケメン幼馴染み君の回復を祈ったことから始める、異世界転移。どこか含みのある神様、東照大権現(徳川家康)が仕掛け人です。

その東照大権現、自らが言う「なんちゃって江戸時代」な『神ノ都』ではじまる、ナイーブでセンチメンタルな患者達との邂逅の物語。

これだけで、今までにない作者様独自の世界観を感じると思います。


この作者様の作風でもあるのですが、終始、暖かい。
自己評価低めなヒロイン、草子さんを終始、周りが認めているんですよね。

苦い味ばかり慣れると、そればかりに慣れてしましますが、本来、お薬というの自己免疫力を促すもの。不要となれば、断つが然り。

この物語では、患者を癒やしながら、草子さんが癒やされている姿が、なんとも胸が暖かくなります。

そしてこの作品は、ナツガタリ'25 カクヨム恋愛小説大賞にエントリーされています。現在、26話まで読了した段階ですが、幼馴染み君を無自覚に意識している草子さん、そしてその気持ちを肯定する友人達とのやりとりが微笑ましい。

東照大権現様こと、あの古狸(笑)が、何かを企んでいる気がするし。まだまだ、目が離せません。


自己評価低めの女の子が処方する最高の良薬。まさに薬の苦さはヒロインの暖かさ

患者さんのことを考えて処方をすることと一緒で、
誰かのためにがんばることは、一筋縄ではいかないけれど。

誰かを想うことこそ、最高の処方箋なんだと感じさせる本作。
「自分なんて……」
って思う人こそ、草子さんに処方してもらいましょう。ほら、神ノ都に降りたら葛城屋という屋号の廻船問屋がありまして――。

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