醒めぬ夢は醒めぬまま
黒豆ちゃん♪
醒めぬ夢は醒めぬまま
私は夢を見た。
学校から自転車を漕ぎ、家に帰ろうとしているところで私は信号を無視してきた車に轢かれた。そして、そのまま死んでしまった。
現場は人も車もよく通る大通りで、その事件当時も何台も車がいた。
…というところではっと目が覚めると、そこは自分のベッドだった。あぁ、なんだ夢かと安心する。そしていつも通り学校へ向かう。
帰り道、私は信号を無視した車に轢かれた。あれは夢じゃなかったのか、いや、あれが予知夢だったのかと思い、諦めて目を瞑る。
目を開けたら、やはりそこは自分のベッド。どうなっているんだ、と思いながらやっぱり学校に行く。そして学校帰りに轢かれる。
私は醒めぬ夢の中に入ってしまったのか、と気づく。学校に行かなければ死なないのでは、と考えた私は学校に行かなかった。それでも、家で火災が起きて死んだ。そして、また自分のベッドで起きる。
何十回、何百回とやっても醒めない夢。学校に行っても死ぬ。行かなくても死ぬ。学校ではなく別の場所に行ったとしても死ぬ。何をしても、最終的に死が訪れ、また夢から醒める。精神はすり減っていた。こんなに死を経験して、もう感覚も麻痺している。痛みは、ほとんど感じない。死への恐怖も消えた。
しかし、それにも終わりは来た。
起きて、とりあえず学校に行く。そして、友達と放課後に遊びに行く約束をして、一緒に遊ぶ。すると、今回は死なずに家に帰ってこれた。ああ、今度こそこれは夢じゃなかったんだ、と思い、家から空を見上げる。
空は、血のように赤く染まっていた。
醒めぬ夢は醒めぬまま 黒豆ちゃん♪ @kuromametyan-315
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます