バッドエンドのその先で、勇者は“意味”を探す
- ★★★ Excellent!!!
異世界から帰還した勇者が辿り着いたのは、100年後の絶望的な未来。
――というテンプレ的な導入かと思いきや、中身は驚くほど“骨太”だった。
本作の魅力は、ただ強くてスカッとするだけじゃない。
異世界と現実世界、魔力と桜力、命と心。
何が違って、どこが繋がっていて、なぜ“今ここに自分がいるのか”。
戦う理由や、存在意義そのものを問い直すような構造になっていて、読めば読むほど引き込まれる。
特に理仁との対話で描かれる「概念の境界」の話は、ラノベの枠を超えた哲学的深みがあるし、それでいて難解すぎず、キャラの掛け合いで自然に読ませてくれるバランスが絶妙。
ただの“バッドエンド後の救世主もの”ではなく、人類の終末に直面しながらも、それでも“希望とは何か”を描こうとする、めちゃくちゃ真摯なSF×異能バトル。