「霊は存在する」と国家が公式に認めた世界。
と冒頭にあって、「よくある怪談」では終わらないことが分かります。
本作は、霊災対策が国家事業となり、除霊師が制度として組み込まれた現代日本を舞台にした、徹底的にリアリズムを積み上げたダークファンタジーです。
特に印象的なのは、
「死にたくないという思いが強いほど、人は悪霊になる」
という世界の法則。
善人であっても、家族を想っても、
その“未練”が悪霊化を招いてしまう。
この設定が、単なる勧善懲悪ではない、重く静かな恐怖を生んでいると感じました。
主人公・晴北成道は、
恐怖を否定せず、「怖いからこそ準備をする」少年。
彼の冷静さと優しさは、この過酷な世界を生き抜くための覚悟として描かれます。
一方で、瑞月が抱える「自分の願いが、母を悪霊にしてしまった」という後悔は、
この作品が持つ最大の痛みであり、核でもあります。
現代×学園×除霊という枠組みの中で、
静かに、確実に、心を削ってくる作品でおすすめです!
惹き込まれる描写と重厚な設定が、読者を一瞬で「怪奇」の世界へと誘ってしまいます。
冒頭でいきなり提示される短編のような、とある者の回想が物語全体の不穏な空気感を醸成し、読者の好奇心を煽ってきます
ごく普通の女子学生が友人の噂話に耳を傾け、心霊スポットへと足を踏み入れる。その軽はずみな行動が、彼女の身に降りかかる不可解の始まりだとは、この時点ではまだ誰も知りえなかった……
その後、舞台は除霊師を育成する学園へと移り、個性豊かな登場人物たちが織りなす人間模様が描かれます。
彼らの軽妙な会話の裏側には、霊と向き合う除霊師としての責任、そして秘められた過去を垣間見ることができます。
ミステリー、ホラー、そして悪霊との除霊アクションが巧みに融合した本作は、一度読み始めたら止まらない。
緻密に作り込まれた設定と謎が、読了後も深い余韻を残し、忘れられない読書体験となることでしょう。