第3部 あらすじ / 登場人物
神納町を襲った未曽有の災害――それは、町が長年封じてきた“記憶”と“祈り”の歪みが、限界を超えて噴き出した瞬間だった。
だが、町の人々はその出来事を何一つ覚えていない。
災害の爪痕も、綾乃や《Town Code》の配信も、十二の鍵と封印の真実も……すべては「なかったこと」として、町の時間は平穏な日常へと戻っていた。
だが、その町にひとりの少女が現れる――椎名七海。
彼女は、YOKOに導かれるように神納町へとやってきた。
再び始まる“記憶の修復”と“祈りの回復”の物語。
十三の鍵、封じられた祭壇、生贄と祟り、そして町が神を忘れた理由。
町が最後に選ぶのは…YOKOの“願い”が町に何を遺していくのか――。
👤 登場人物一覧(第3部)
◆椎名 七海(しいな ななみ)
東京から神納町にやってきた女子大学生。
歴史民俗学を学ぶ中で“封じられた町”に興味を持ち、調査に訪れるが、次第に町の“記憶のほころび”に巻き込まれていく。
実は高僧の血を引く一族の末裔であり、“忘れられた神”を再び祀る役目を帯びていた。
◆ 高坂 綾乃(こうさか あやの)[主人公]
町で唯一、第2部までの記憶を保持していた少女。
祖父・榊原道隆から“記録者”としての使命を引き継ぎ、第3部では七海と共に町の封印された真実に向き合っていく。
記憶を失っていたが、次第に感覚を通して思い出しはじめる。
◆ YOKO(神納ヨーコ)
白い着物を纏った少女。
かつて神納町で“山の神の番”として祀られていた存在だが、祟りとされ、封印された過去を持つ。
七海を導き、再び“想いを祀ってほしい”と願い続けている。
その正体は、人々の願いがかたちになった“祈りの神霊”。
◆ カンナ
YOKOと共に祀られていた“もう一柱”の存在。
中性的な姿で、“祈りを受け取り神へ届ける媒介”として生まれたが、綾小路家により封じられ、存在ごと町から忘れられていた。
終盤で“祈りの橋”として再び現れる。
◆ 榊原 道隆(さかきばら みちたか)
綾乃の祖父。
かつての神納記念診療所の院長であり、“第十二の鍵”の担い手。
記録者でありながら、鍵である自らの使命を拒んだ罪を背負っていた。すでに故人。
◆ 《Town Code》メンバー(サトシ、ユウト 他)
第2部で真実に迫った動画配信グループ。
現在は町の人々の記憶から完全に消されているが、綾乃の中には彼らの記録と痕跡が残されている。
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◆ 用語解説(第3部)◆
** *十三の鍵** *
町と神を繋ぐ13人の存在。記憶、罪、祈りをそれぞれの形で担っていたが、1人は欠落していた。
** *記憶の封印/改竄**:
綾小路家によって神の祟りを抑えるため、町ぐるみで“記憶”を封じた行為。その結果、神も祀られず、町は穏やかな日常を得たが、同時に大切な“祈り”を失っていた。
** *選択の儀式**:
鍵が揃ったとき、町が祈りを回復するか、再び忘却を選ぶかを問われる最終選択。これは神ではなく、「町そのもの」が選ぶ。
** **祀ることの意味**:
忘れず、願い続けること。
神とは、人の祈りによって初めて存在する。
『十二の時に満つるもの』 黒羽ユイ @mindo
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