深青

十六歳の秋、水瀬夏希は、明るくて誰からも親しまれるクラスの中心的存在だった。
二学期の始まり、転校生・神谷駿が一年三組にやってくる。無口でクール、どこか影を纏ったような彼に、夏希は次第に心を惹かれていく。

最初は交わることのなかったふたりの視線。だが、ある出来事をきっかけに距離が縮まり、心の奥にある“言えない過去”や“秘密”に触れていく。
青春のきらめきと、取り戻せないもの。
彼が背負うものと、彼女が知ってしまう真実。

そして七年後──
二十三歳になった夏希は、封じたはずのあの秋と再び向き合うことになる。

16歳の秋、深い青を知って。
23歳の秋、深い闇を知った。

これは、ある喪失と再生の物語。
罪と秘密、そして“好き”という想いだけが、たしかに残った。