喉に刺さった小骨を呑み込んだような

美味しそうな給食のメニュー。こんな豪華で素敵な食事ができるなんてと羨みながら、無邪気で美味しそうな生徒たちのコメントを微笑ましく読んでしまう……あれ、なんだかおかしい。

小骨が刺さったような違和感。読み進めるにつれて少しずつ形がはっきりとしてくる不安。あんなに楽しそうな食事から血腥い臭いが漂ってきたと思ったのは、気のせいでしょうか。
「食後に体調がすぐれない場合は、無理せず保健室に申し出てください」そんな決まり文句を最後に目にするたびに、だんだん寒気がしてきてしまう。
普通の学校の給食献立表だったはずなのに、次が気になってつるつる読んでしまう。かと思えば、カッと喉の奥が焼けるような急展開、ねちゃりと絡みつく嫌な感覚。しかし、途中でこの気味の悪い味に懐かしさすら感じてしまう。もったいなくて、最後の一口を呑み込むのが惜しい。しかし、これは呑み込んでしまってよかったのか。

じわりと後に尾を引く味わい深いホラー作品でした。

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