“伝えること”や“想いを届けること”の本質が丁寧に描かれています。
滝頭唯と神谷の関係性は、過去の痛みを抱えながらも、どこか温かく、読んでいるうちに言葉のない優しさに包まれるような感覚を覚えました。
特に印象的だったのは、“音のない対話”のシーン。
沈黙の中にある感情や、手話で交わされる想いの強さが静謐な筆致で描かれ、まるで息をひそめてページをめくってしまうほど。
また、姉の遺したSDカードやニュース原稿といった“言葉の遺産”が、物語全体に美しい余韻を与えており、読後には胸が締め付けられます。
派手さはないのに、一つひとつの描写が心に響く。
「声がなくても、人は想いを伝えられる」というメッセージが、静けさの中で力強く響く傑作です。