蒼樹歌集『なり損ねた鳥』

蒼樹里緒

なり損ねた鳥

息絶えて枝を血で染め飾られるあの速贄になりたい私


青い鳥指先が羽掠めても目覚めた手には夢さえなくて


湖に救いがやって来たとして私は白い王女になれず


幸福の王子に寄り添う燕が死んだら誰がそばにいるのか


千年も生きたくはない鶴が恩返す相手の命短く


早朝に鴉が漁るゴミ袋啄むのは誰の肉だろう


駒鳥を殺したのは私なんだすぐ土に埋めるべきだったよ


罰として舌を切るなら雀より私にしてよ鋏をどうぞ


叶うなら蝋の翼で太陽の熱に焼かれて散りたかったな


この世で最初に飛んだ始祖みたいに化石に閉じ込めて欲しいんだ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

蒼樹歌集『なり損ねた鳥』 蒼樹里緒 @aokirio

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画