生首

白川津 中々

◾️

生首が落ちていたんだよ。


え〜っと思ったよそりゃあ。だって生首だよ。普通ないじゃん。首っつったら体に繋がって、人間として往来を行き来してるもんだよ。いや生首は人間か否かとかそもそも損傷した死体はどこまで残っていたら人間という定義に当てはまるのかとか面倒な議題があがるかもしれないけれども一旦それは置いておいてとりあえずあったんだよ。で、気持ち悪いなぁと思いつつどうせ行政が処理するだろうってスルーしようとしたのね。そしたら目が合っちゃって「きききぃー」とか笑いやがるのよ。もうびっくりしちゃってさ。「え、喉切られてんのに声出んの?」なんて独り言よ。案の定切断面からゴボゴボ血が溢れてるし。なんか腹立ったから友達呼んでサッカーしてやったよ。「これがイングランド式本場のフットボールやぁ」みたいに叫んで最後はツインラブハリケーンで彼方へ飛んでっちゃった。思えば悪い事したなぁと思っていたんだけど、まさかあの時の生首が大陸に渡ってシルクロードを逆走してるとは思わなかった。今はアフガニスタンあたりを飛んでいるらしい。後に判明したのだけれどどうやらリストラにあったクラスメイトの父親の首なんだって。悪い事をした。幽霊の正体見たり飛頭蛮。知人の父がガンダーラ。


さぁ、将来首を切られないように、勉強しよう、勉強。

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