第2話 風俗業のリスク
今回の殺人は、ホテルの一室で起こった。
そのホテルは、ビジネスホテルのようなものではなく、いわゆる、
「休憩時間がある」
というホテルであった。
昭和時代であれば、
「目的は一つ」
ということであったが、最近ではそんなこともない。
以前は、
「男性一人の客はいいが、女性一人だったり、女性絵人組」
という客は、フロントが警戒したり、
「入室を拒否したりしていた」
理由としては、
「自殺を企てる客がいる」
ということであった。
確かに、
「女性一人の客」
というのは、
「いかがわしいホテル」
だけでなく、旅館などでも、警戒されたものだ。
実際に、一時期は、
「女性一人の自殺」
というものが多かったのは分かるが、中には、
「無理心中」
というのもあったはずだ。
しかし、男女一組というものを拒否していれば、商売になるわけもなく、男女の客を断るわけにはいかなかったのだ。
それを考えると、
「女性のみの客を断っていた」
というのも、どこかおかしな気がするが、今では、そこまでのことはないようだ、
そもそも、今のラブホテルというのは、
「いかがわしいことをいたす場所」
というだけではなく、そこでパーティをするという人もいるだろう。
中には、最近はやりの、
「女子会」
というのをする人もいて、
「女性のみの客を歓迎するようになり、女性客であれば、割安」
というようなキャンペーンで、ひょっとすると、逆効果としても、
「自殺の抑止につながる」
と考えている人もいるかも知れない。
さらには、
「最近はシフト制で仕事をするという人も多い」
という場合、
「昼勤であれば、ビジネスホテルでいいだろうが、夜勤の人間は、昼間寝るということで、ビジネスホテルでは賄えない」
という場合がある。
ビジネスホテルというと、普通であれば、午前中の10時くらいまでがチェックアウトの時間となっていて、まれに、
「昼過ぎくらいまで、チェックアウトを伸ばしてくれる」
という部屋もあったりする。
しかし、チェックインは、大体が15時くらいからである、仕事が、19時くらいということであれば、
「4時間しか睡眠時間がない」
ということになる。
しかも、
「朝仕事が終わって、15時まで眠たいはずなのに、どこにいればいいというのだろうか?」
ということになるだろう。
それを思えば、
「ラブホテルであれば、24時間営業している」
ということで、しかも、
「昼の時間は、フリータイムということで、場所によって時間は微妙に違うが、朝の8時くらいから、18時くらいまで、決まった時間での休憩」
ということで、
「ビジネスホテルで一泊するよりも、安い値段」
ということになる。
しかも、
「ベッドはダブルベッドで、お風呂も広い」
ということで、
「実に心地よく仮眠ができる」
というもので、
「宿泊費の清算」
ということを会社に申請する時、領収書をつけて提出することになるので、少し恥ずかしいということもあるだろう、
しかし、会社に提出するということだけで、
「会社だって、分かっていることではないか?」
ということで、
「ラブホテルの領収書でも受け付ける」
ということであれば、誰に憚ることはない、
「普通の宿泊費清算」
というものができるということだ。
実際に、ラブホテルというと、
「高速道路のインターに多い」
という特徴がある。
しかも、そのあたりには、
「物流センターなどが結構あり、そこでは、夜中も作業が行われている」
ということだ、
中には、
「物流センターに出張できて、夜立ち会う」
という人がいたりすれば、その人の仮眠場所をどこにするかということで、
「近くのラブホテルを使う」
ということで、
「会社とホテルで契約のようなものができていて、そこに泊まれば、安上がり」
ということもあるのだった。
なかなかラブホテルというのは、敷居が高い。会社から、
「別に領収書はラブホテルでも構わない」
といわれていても、
「はい、そうですか?」
とはなかなかいかないものだ。
ラブ歩の使用目的として、もう一つあるのは、
「デリヘル」
などの
「風俗産業を利用する」
という場合である。
デリヘルというのは、
「店舗型の風俗」
とは違い、基本的には、
「ホテルの部屋をお客が取ってから、その部屋にいるところへ、女の子を派遣する」
というものである。
もちろん、
「客の家に女の子が赴く」
というパターンがあったり、
「途中どこかで待ち合わせてから、女の子と一笑にカップルでホテルの部屋に入る」
というやり方であった。
どうしても一般的なのは、最初のパターンで、その時のために、
「客。つまり、男性一人の利用客」
ということで、昔からの、
「男性一人の客はOOK」
ということであるが、今の時代は、
「デリヘル利用者がいる」
ということで、問題ないということなのだ。
実際に今の時代であれば、
「男性一人の客」
つありはm
「デリヘル利用目的の客」
というものを締め出してしまうと、
「ラブホテルの経営はやっていけない」
というほど、ラブ歩客のデリヘル利用目的客の割合が、相当高いということになるであろう。
デリヘルは、ハコ型、つまりは、
「店舗型」
といわれる風俗店に比べれば、
「相当なリスクが高い」
といえるだろう。
風俗店で、一番女の子にとってのリスクというのは、
「身バレ」
というものである。
今の時代は、昔と違って、昼職という、OLや、パートなどをこなしてから、空いた時間で風俗をやっているという女の子が多い。
だから、昔のように、
「借金があるから」
などというのは結構少ない。
今であれば、
「ほしいものがある」
であったり、
「海外旅行に行きたい」
などという、物欲を満たすということであったり、
「ホストに嵌ってしまって、推しのホストに貢ぐため」
という人もいるだろう、
しかし、多いと思われるのは、
「大学生で、奨学金をもらっていて、いずれは返さなければいけない」
ということで、
「大学生の間に、返す金を貯める」
というパターンが、ひょっとすれば一番多いのかも知れない。
そもそも、
「海外などでは、奨学金は返さなくてもいい」
というのが主流とううではないか、それを考えれば、
「風俗の規制をするのであれば、奨学金を返さなくてもいい」
ということになると、風俗嬢になる人が減ることから、
「風俗店はやっていけない」
ということになるのではないだろうか?
そして、次に多いと思われるのが、
「本当に、性風俗を天職だ」
と思っている女の子が多いということである。
「好きなセックスをして、お金が儲かる」
ということであり、しかも、
「男性をいやしてあげるということで、やりがいもある」
といえるのではないだろうか?
それを考えると、
「性風俗というのは、本当に悪いことなのだろうか?」
と感じるのであった。
確かに、
「売春防止法」
というものがあるのだが、実際に、
「ソープランド」
などは、
「市民権がある」
といってもいい。
かつて、某外国名と同じ名前を業界名に使っていたことで、訴訟が起こり、結局、
「名前改定」
ということと、
「風俗営業法というもので、厳しい規制をかける」
ということで、
「法の下で、まっとうな営業」
ということになったのだ。
だから、
「店員も、風俗嬢も、何を憚る必要がある」
というのか、
それよりも、
「ストレスのたまった男性をいやす」
ということで、
「マッサージやリラクゼーションなどと、どこが違うというのか?」
ということである。
そんな性風俗というのは、
「基本的には、風営法が基準となっているが、各自治体で考え方が違うということで、最後には、都道府県条例が、取り締まる法律」
ということになる。
だから、
「年齢さえ達していれば、働くことは問題ない」
といってもいいだろう、
しかも、昔のように、
「借金の肩」
などであったり、
「ひどい時には、いかさま賭博などでだました被害者に借金を負わせ、娘に借金を返すため、自分たちの息のかかった店で働かせる」
ということでの、
「暴力団の資金源」
ということだったりする。
それこそ、
「パチンコ」
であったり、
「麻薬の密売、および、その蔓延」
などと同じレベルだったといってもいいだろう。
しかし、中には、そういうところもまだあるのかも知れないが、今の風俗街といわれるところでは、
「客の呼び込み」
であったり、
「ぼったくりの店」
のようなものは姿を消し、見た目は、
「健全な街」
となっている。
それでも、実際に世間が見る目は、まだまだ風俗店は、
「昔と変わっていない」
という目でしか見られないだろう。
だが、働いている女の子であったり、利用客などは、そんな暗いイメージは払しょくできているのではないだろうか?
もちろん、店舗の中には、
「女の子に厳しい店」
というのもあり、
「転々虫」
と呼ばれるような、
「短期間に、たくさんの店舗を経験したり、中には、出戻りのように、かつて勤めていた店に戻る人もいる」
これは、
「風俗嬢が人手不足で、すぐに他の店が見つかる」
ということもあるだろうし、辞めていくこととして、
「店側が客に理不尽なサービス提供をしていることで、女の子が、せっかく自分をひいきにしてくれる客に頭を下げる」
というようなことになるからであろう。
風俗嬢の女の子は、
「接客業」
ということでありながら、
「営業もこなしている」
ということで、なじみ客も、
「大変な仕事だ」
ということで、その子を推すということになるのだろう。
本来であれば、店側が、女の子を推す努力をするべきなのだろうが、何しろ、
「単価が高い」
ということで、女の子も、
「歩合制」
ということであれば、
「お茶を引く」
などということがないように、女の子も、
「SNSなどを使って、客と仲良くなり、馴染みとは、連絡が取れるようにしておく」
ということで、いわゆる、
「姫弱く」
などができるようにするのであった。
「姫予約」
というのは、SNSなどのコミュニテーのサービスとして提供されている、
「ダイレクトメール」
のような機能を使って、
「女の子の営業成果になる」
ということである。
そして、姫予約を獲得した女の子は、
「店から、姫予約一件に関して、色をつけてもらえる」
ということになるのであった。
だから、女の子も、必至になって、
「姫予約を獲得しよう」
とする。
しかし、
「SNSの機能」
ということで、
「弊害がある」
ということもある。
というのは、
「客と女の子が、顔が見せないところで文字での話をするわけなので、心ない客の中には、誹謗中傷などを平気で書いてくる」
という人もいる。
あるいは、
「デリヘルなどで、店舗から固く禁止されている、本番行為の強要」
なども含まれているから、厄介だ。
しかも、女の子は、そんな不特定多数の客を相手にしないといけないのだ。
そのような誹謗中傷に近いことを書いてくる客であっても、
「正式に予約を入れてくれば、むげに断ることもできない」
ということになるだろう。
そういう意味で、
「SNSというのは、営業に使えて便利であるが、身を守るということを考えると、リスクが大きい」
といってもいいだろう。
そんな中で、もう一つの問題が、
「身バレ」
というものだ。
「親や家族とばったり出くわす」
というのが、
「女の子にとっても、家族にとっても、ばつが悪い」
ということであるが、それでも、相手は、
「立場の強さ」
というか、
「親の責任」
というものを持ち出してきて。
「うちの娘をこんなところで働かせて」
とくるわけだ。
昔であれば、
「借金の肩」
ということもあったのだろうが、今では、ほとんどが、
「普通に働きに来ている」
ということで、
「強制ではない」
ということになるのだ。
それを、
「娘がそんなふしだらなことをするわけはない」
と思っているからなのか。
「自分も通っているくせに、いかがわしい店だ」
と思っていることでの、自分の中の矛盾を、強引に自分に納得させようという気持ちからなのか、親の言い分というのは、実に厄介なことなので、店側としても、そんな因縁をつけてくるというのは、
「理不尽以外の何物でもない」
といえるだろう、
だから、女の子もさることながら、店側としても、大きな問題だ。
もし、ばったり会ってしまって、そこで、親が店に因縁を吹っかけてくれば、それこそ、信用問題ということで、営業にも大きな影響を与えることだろう。
下手に、親が暴れ出したりすれば、警察沙汰ということになり、
「法律で問題ない」
ということであっても、
「使用者責任」
というものが絡んでくると、厄介なことになるだろう。
だから、店舗型などであれば、
「客を必ず、待合室に案内する」
ということになっている。
「女の子がお部屋の準備をしていますので、こちらでお待ちください」
ということであるが、本当の目的は、
「待合室の外から、女の子に、昔ならマジックミラー、今であれば、防犯カメラ」
というものを使い事前に、客を確認させるということになるだろう。
これは身バレだけでなく、
「以前に、ルール違反をして店から出禁になった」
という人対策ということでもある。
ハコ型と呼ばれる、
「店舗型」
ではそれができるからいいのだが、これが、デリヘルということになると、そうはいかない。
というのは、
「まず、待合室」
というものがない。
ということ、そして、
「相手の城に乗りこむ」
というものだからだ。
だから、女の子の中には、
「何があるか分からない」
ということで、
「自宅への派遣」
というのを、NGにする女の子が多いということである。
しかし、
「ホテル」
であっても、事前確認のできないところに、
「女の子が一人で入る」
ということであれば、
「相手が何人いるか?」
ということも分からないし、
「隠しカメラなどで撮影され、脅迫される」
などということがないとは言えない。
いずれは、警察に検挙されるだろうが、女の子が受けたショックは、トラウマになることで、
「このまま仕事が続けられない」
ということになるかも知れない。
下手をすれば、
「PTSDなどの精神疾患を患ってしまう」
ということになり、
「仕事を続けられないどころか、入院して、治療に専念しないといけない」
ということで、
「金銭的にも、かなりの負担になる」
といってもいいだろう。
それを考えると、
「デリヘル」
というのは、
「リスクしかない」
と考えられる。
しかし、今の時代は、
「デリヘルなどの店舗は、かなりの数がある」
ピークから比べれば、だいぶ落ち着いているといってもいいかも知れないが、
「ラブホテルの経営に大きな影響を与える」
という、
「デリヘル業界の存在」
というのは、大きなものとなるであろう。
しかも、
「ソープではなく、デリヘル」
という女の子もいる。
「本番が嫌だ」
ということなのかも知れないが、
「その分、給料もいい」
ということと、
「デリヘルへのリスクヘッジ」
ということを考えると、
「なぜデリヘルを考えるのかというのは、不思議な気がする」
何といっても、
「店舗型」
であればm
「客が禁止事項を行えば、ベッドのそばに、
「ナースコールのようなブザー」
というものがあり、それを押すことで、
「スタッフが飛んでくる」
ということになり、女の子への危険を回避することができるだろう。
何といっても、
「自分の店」
なのだから、そういうことは普通にできるだろう。
しかし、デリヘルというのは、
「ラブホテルの部屋を借りている」
ということなので、
「事前に何かをセットしておく」
ということはできない。
しかも、部屋は、客側が用意して待っているわけだ。いくら、
「禁止事項」
といっても、
「やるやつはやる」
ということになるだろう、
それでも、なぜ、給料が店舗型に比べて、バカ高いわけではないのに、リスクを押してまで、デリヘルのするというのか?」
正直、その考えが分からないのであった。
デリヘルというのも、
「リスクばかりをクローズアップしてしまう」
とキリがないということになるだろう。
ソープのような店舗型であっても、
「まったく危機がない」
というわけではない。
ただ、
「デリヘルよりも、リスクという意味でいけばかなりの差がある」
ということで、それが、
「天と地ほどの違い」
といっても過言ではないだろう。
そんなデリヘルであったり、ソープなどといわれる、
「特殊性風俗」
と呼ばれるものは、法律もしっかりしていないといけないということなのであろう。
今回、被害者になった人は、
「デリヘル嬢」
ということで、
「ラブホテルにデリバリーされた女の子」
だったのだ。
その女の子は、
「サービスが終われば、スマホを使って、会社に連絡を入れたり」
あるいは、
「送迎の社員に連絡を入れ」
「今から出る」
ということを伝えることで、
「危険回避」
ということになるだろう。
しかし、今回の事件の被害者は、部屋で、サービス終了後、客からお金をもらった時、
「サービス終了」
を運転手に伝え、運転手が、事務所に、
「○○さん、サービス終わりましたので、今から、帰社します」
ということを報告するのだ。
実際には、そこまでは行われていた。
「だから、運転手は、女の子がホテルの部屋から出てくる」
ということを待っているだけだったのだ。
しかし、運転手とすれば、
「5分経っても、10分経っても出てくる様子はない」
客は、
「そのまま下手に残る」
というパターン。
あるいは、
「一緒にチェックアウトして、表で、女の子だけが送迎の車に乗りこむ」
というパターンで、どちらにしても、
「数分で終わること」
であった。
運転手も、
「これはおかしい」
ということで、10分経ったところで、運転手は折り返し、女の子のスマホに電話を入れた。
すると相手が応答することはなく、
「これはいよいよおかしい」
ということになったのだ。
急いで、事務所に事の次第を伝え、事務所の指示で、歩手Tるのフロントに報告し、対応してもらうようにしたのだった。
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