概要
小さい頃は、この掌の中にあるものがこの世界の全てだと思っていた。
凍えるほど蒼い海にあるのは、君が言っていたものだったのかもしれない。
探してみるよ、汐里。
だからどうか、君も見つけておくれ。
探してみるよ、汐里。
だからどうか、君も見つけておくれ。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!たぶんこれは“好き”より少し先の、海のように深い感情の物語。
たとえば、自分の町から出ていく誰かを見送るしかない日って
——人生の中で、いくつあっただろう。
『飛燕は冷たい海を越えて。』は、そんな記憶を丁寧に描いた物語だ。
あの頃の自分がどれだけ無力だったか、じわじわと思い出させてくる。
この小説、話の流れはとても静かで自然なのに、読み終えて振り返ると、最初の一行から最後の別れのシーンまで、まるで脚本家が緻密に伏線を張ったかのように、すべてが綺麗に繋がっている。
だからこそ、すごくもどかしい。
何度も言えたはずの言葉が、何度も言えないまま流れていく。
その沈黙が、やけにリアルで、読んでる自分まで言い訳を始めたくなる。
青春ものって、「勇気を出し…続きを読む