カップルを見る

白川津 中々

◾️

街ゆくカップルを見ると、どうにも番いどちらか、あるいは双方共不幸そうな顔をしていて、実に愉快である。


不満があれば離れたらいいじゃないか。

そんな言葉を投げかけそうになるものの他人様の恋愛事情に口を挟むのは野暮である故、何も語らないままに過ぎ去るが、胸のつっかえはとれない。俺は独身で交際もしていないが幸せであるからして、孤独に一家言あるのだ。それを、女連れ相手に辻説法が如く説き伏せたらきっと爽快だろう。ある意味マウントに近い行為だがしかし、どう考えたって男は一人の方がいい。誰かと一緒になったことはないが断言できる。人生の厚みが変わってくるに違いないのだ。


そうこうしているうちにまたカップルだ。男の方がろくでもない面をしている。ざまぁない。自由に生きられず、自らの意思さえ捻じ曲げねばならない生活を強いられるというのはどんな気分なのだろうか。あぁ、今度は女。極悪な目で周りを睨みながら、何か腹に据えかねているようだ。哀れじゃないか、そうまで不幸であるのに、相手と離れられないというのは!


……


……あまりに惨めだ。


他者を嘲笑する自分が最も哀れであると、俺自身分かってはいるが、他に生き方を知らない。

一人帰り、無音の部屋に入る。俺は生涯をここで過ごし、死ぬのだ。それを思うと憐憫が自らに向かい、締め付けられる。


誰か、誰でもいいから、側にいてほしい。

そう思いながら俺は、カップルを馬鹿にする。

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