刺さる

Iloha

第1話

明日の支度をして

お弁当を用意する。


先にお風呂に入ってね、 

そう家人に伝える。


今日はなにかこころに刺さった。

そうすると全てがうるさい。


もじも、こえも、おんがくも

全て輪郭を失って用途の分からぬ

歯車やネジのように頭に重たい音を立てて

降ってくる。


ピンで刺された昆虫のように

私は動けない。

けれど時間は過ぎていく。


機械仕掛けになってやり過ごす。

ごはんを噛む、魚を噛む、

皿を洗う。


静かになった。

ああ、ごめんね。

私が私のこころを塞いだのよ。

明日を迎えるために。


私の叫びを覆ったの。

なんてことかしら。

私は私を抱き締めるべきなのに。


私はなんていつも愚かなのだろう。


静かよ。

とても静かなの。

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