概要
ころしてやる、それしか、しらない
おとろしはささやいた。
「ころしてやる」
ころしたいほど、うらんで。
さあ、腹を満ちさせておくれ。
「ころしてやる」
ころしたいほど、うらんで。
さあ、腹を満ちさせておくれ。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!~「ころしてやる」の囁きの先にある、最後の一言 ~
「おとろし」という怪異が囁き続ける呪詛の言葉その単純な暴力性が、認知症の母を介護する息子の疲弊と絶望と並べられたとき、ホラーというよりも哀しみの物語に変わる。レビューで繰り返し触れられている通り、怨念のかたまりであるはずの怪異が、最後に何かを変えていく構図が見事だ。
3,486文字という短さの中で、虐げられる側の忍耐と、囁き続ける誘惑との拮抗が丁寧に積み上げられ、その果てに訪れる転換点が静かに胸を打つ。語られすぎないからこそ強く残る、という指摘の通り、「最後に何を言ったのか」を直接書かずに余韻として残す手法が、この作品の強さを支えている。
ホラーの皮を被った愛の物語、という評がよく分かる…続きを読む