生々しい創作論に隠された巧みな仕掛けにご注目を!

 モキュメンタリー小説の質は、作中で引用されている文章の「それっぽさ」で決まると思うんですよ。小説の文体は十人十色で、オリジナリティが高いほど評価されがちですが、モキュメンタリー小説の場合、逆にどこかで見たことがあるような内容であるほど、より臨場感を生み出します。

 本作ではタイトルにあるように、あるコンテストの特別賞を受賞したWeb小説作家が書いた、自身の経験を踏まえた創作論が引用されているのですが、その内容が実に「それっぽい」!! 行間のあちこちから作者のドヤ顔が透けて見えるようで、カクヨムに投稿している人であれば「こんな感じの創作論、見たことある!」という、ほっこりした気持ちになれること間違いなしです!

 創作論とモキュメンタリーを組み合わせるという発想の時点で素晴らしいのですが、それだけに終わらず、この創作論の合間に、ある大学生の独白が挟まれており、一見無関係に見える二つの内容が徐々に重なっていく様子が実に巧み。それでいて創作に対するある種の情念もしっかり描かれていて、色んな意味で参考となる一作です。


(じわりと恐怖が染み込んでくるモキュメンタリー4選/文=柿崎憲)

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