No.018 メロディ隊 side-レイ/リサ

 1節 主役


 ボーカルとキーボード。

 END MEMORIESでは、私と理紗さん。

 大体の曲でこの2パートは主役になる。というか、ボーカル歌手なしインストでもない限りずっと主役。キーボードはたまに裏方に回るけど。

 そんな私たちだからそこそこ一緒に練習することが多い。ボーカルの音取りからセッションまで。今日も2人でスタジオを借りて練習している。理紗さんはコーラスもしてもらってるから、合わせる時にも都合がいい。上手いし。

「ここどうやって歌えばいいですかね?」

「そうねぇ、ここは————って歌うといいかもね」

「確かに!その方が勢いが伝わりますね!」

「そうそう、どうしても力強さは男性ボーカルには負けちゃうからね、こういう所で差をつけられたらいいわね」

 流石に薬を入れるわけにはいかないから素面シラフで練習してるけど、すごい勉強にはなるし多分大丈夫。



 2節 鍵盤


 61の鍵盤と大量のスイッチやレバー。

 それが私の使うキーボードシンセサイザーの装備。これで私は変幻自在って言えるくらいの音色を使い分けられる。理論上は。実際にはそこまで多くを使い分けることはできないどころか、そもそも必要なかったりするけど。

 両手で低音とメロディを弾く都合上、零ちゃんとハモる部分とそうじゃない部分があるから、その辺りを分かりやすく弾き分けられるようにしていく。

 本当に零ちゃんの声って綺麗。

 透明感はありつつも、女性ボーカルにしては力強さもそこそこある。ハモる側の私も弾いてて気持ちいいくらいにはいい。

 こんな子がこのバンドにいてくれてよかった。

 私と零ちゃんで作るメロディを、さらに良くなるように練習を重ねていく。

 そうしていれば、いつの間にかスタジオの制限時間に迫っていた。



 3節 夕食


 2人で練習した帰りは、大体一緒に夕食も食べる。サイゼリヤは最強。

 そこで練習を振り返ったり、適当に雑談をする。あることないこと、最近のこととか愚痴とか色々と。ここに月花ちゃんもいれば、エンメモ女子会になるんだけどな。それはまた今度。

「ちょっと聞いてくれる??」

「大丈夫ですよ〜」

「最近職場の先輩がねー……」

 そんな他愛のない話を繰り返す。

 例え愚痴とかだとしても、なんでか知らないけど理紗さんなら話が楽しい。話し口が上手いのかな、分からないけど。あと話も合う。

「ありがとねーー」

「全然!」

 事が終わったらお会計して、駅まで行ったらサヨナラ。

 会計の持ちは私。代わりにスタジオ代は理紗さん持ち。

 スタジオ代の方が夕食代の倍くらいするからすごくありがたい。理紗さん曰く、「オトナの矜持ってやつよ」らしい。難しいなあ。



 4節 帰り道


 あの子とは話していてすごく楽しいし、音楽してても楽しい。

 でも、一つ気がかりがある。

 危なっかしい。

 言葉の端々からほの暗いものが見える。

 何年か前までの私みたい。

 まるで、1人で細い吊り橋を渡ってるような。

 結果的にどうなるかはまだ見当もつかないけど、できるだけ良くなるように手伝わないとね。零ちゃんの未来とバンドの未来のために。

 もしそういうことになったら、流石に手は出しちゃうだろうな。できるだけ零ちゃんの力だけで進めるのが一番だけど。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

深夜零時、吊り橋で号ぶ。 海月六星 @yuatan

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画