異常な五感、それは正義か、呪いか

「6階の密談が、外から聞こえたんだ」

夜の新宿署。受付で叫ぶ少年の訴えは、誰にも信じられなかった。
だが、その目だけは、本気だった。

型通りの捜査が通用しない街、歌舞伎町。
そこに異動してきた警察官・要浩介は、ひとつの異常に反応する。

少年の名は、早音女 颯汰。
彼の耳は、壁を越え、距離を超え、密室の囁きを正確に拾い上げる〈超聴覚〉。
それは五感という名の武器。だが、同時に呪い。

初対面のテストは、たった一言の囁きだった。

「ズボンのチャック、開いてるぞ」

届くはずのない声に、少年は即座に反応する。
この瞬間、〈超感覚者〉たちの物語は始まった。

常識では届かない犯罪に、異能の感覚で挑む者たちがいる。
音を、味を、匂いを、肌を、視線を。
世界を過剰に感じすぎた彼らにしかできない捜査が、今、始まる。

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