AIと情動ログの発達により、亡くなった人の記憶や性格をほぼ完璧に再現し、機械の体に埋め込んで「よみがえらせる」。
大切な人との続きの時間は誰しも願うものですが、主人公たちに舞い込む依頼の中には、歪な願いも含まれていて…。
“さよなら”の続きを望んだ様々な登場人物の複雑な人間模様には、物語の質として驚かされるとともに、ハッとさせられるやりとりがふんだんに散りばめられています。
個人的な感想ではありますが、ある日突然来てしまう離別にちゃんと“さよなら”ができなかった人たちが、主人公たちの手を借りてちゃんとお別れをする物語、という解釈もできるストーリー構成で、涙なしには読めませんでした。
愛とは、死とは、そして「人である」とはどういうことか。
SFジャンルにとどまらない、重厚なテーマを感じさせる一作です。
AI構築アルゴリズム部門、世界大会で一位の玖城 色葉。
そしてハードウェアユニットを設計する、色葉の婚約者柊玲央。
玲央の作った“器”に、色葉のAIアルゴリズムが注ぐことで、亡くなった大切な存在を記憶のままに甦らせる。
二人はそんな「よみがえらせ屋」だった。
人の想いに寄り添った、素敵なストーリーです。
物語全体を通して人への優しさと愛がある、とても温かい物語になっています。
また心地良い読後感で、読み終わった後はいつも癒されます。
主要キャラはひとクセふたクセありながら誰も愛おしく、読むごとにはまり込んでしまいます!
非常におすすめの一作で、ぜひ皆様にも読んでいただきたいです!
この物語は「偽物」と「本物」の境目についての問いに対してとても誠実な答えを出していました。
特に、玲央が序盤で色葉に打ち明けた「性別という線引きが苦手」という告白の扱いです。
私はこれを額面通りに受け取り、二人の関係を「秘密を共有する親友同士」として読み進めていました。
ところが中盤、玲央の独白によって、あれがOO(ネタバレ防止)を回避するための嘘だったと明かされます。
実際には、彼はOO(ネタバレ防止)を愛している。
この反転を知ったとき、それまでの彼の言動が場所を見ているような感じがしました。
「僕は色葉が幸せなら、それでいいんだよ」
あの爽やかな笑顔の裏にあったものを、私は完全に見落としていました。
二宮颯太という依頼人の造形も見事でした。
亡き祖母を想って涙を流す「控えめな好青年」として登場し、私はすっかり彼を信用していました。
だからこそ、彼がOO(ネタバレ防止)殺害を企んでいたと判明したとき、自分の人を見る目のなさを突きつけられた気分でした。
「感動的な再会」に目を奪われている間、裏で何が進行していたのか。読み返すと、その兆候はちゃんと描かれていたのだと気づかされます。
そして何より、この作品は「AIは幻にすぎない」という前提を一度も崩しません。
「その幻が誰かの心を温め、歩みを支えるのなら――それもまた、ひとつの救いであり『幸せ』なのだろう」
という一節が、物語全体を貫くルールになっています。
だからこそ、青羽が銀太の結末を納得してして受け止めることができました。
ご都合主義に逃げず、それでいて温かい着地点を見せてくれる。
この誠実さが素晴らしかったです。
「死というものの輪郭も知らずに、それを感じていた白い部屋」
という璃久の回想が、一番記憶に残る一節でした。
このお話はAIで亡き存在をよみがえらせるビジネスを描きつつ、技術そのものよりも、人間の喪失と埋められない寂しさに真正面から向き合う物語です。AIによる疑似人格。もうほぼ実現しているのかもしれません。蘇った疑似AIが肉親の手を取り「ただいま」と告げる再会シーンは、偽物と知っているのに、胸の奥がじんと温かくなります。ですが、それを悪用しようとする人もいるわけで… この物語は、「SF×AI×家族ドラマ×サスペンス」としての熱量が強いです。エピソードがどんどん広がっていきます。みなさまもぜひ、この実現の夜明けの技術について、知見を深めてみませんか?
天才AIプログラマーであり、上級家系のお嬢様女子高生 玖城色葉。彼女の婚約者である柊玲央。
二人はAIに記憶と人格のようなものを与える事業を密かに立ち上げている。
精密に構成されたAIに意志はあるのか。そこに意志を感じる人とは何なのか。
死んだ存在と再び会って話しがしたい。そんな誰もが持つ願いを残酷さと罪ではなく、ここまで優しく書けることがまず凄い。
でも、決してその倫理と向き合っていないわけではない。
ただどこまでも前を向いているだけ。
様々な人が居なくなった存在と向き合うために、二人のAIを求める。そこに様々な思惑が絡み合う。
どんな結末になろうとも、そこにあるのは亡くなった者への愛であり、希望だ。
人は2度死ぬ。1度目は肉体が滅んだ時。2度目は誰かから忘れられた時。
2人はもう一度、悲しい想いをさせないために、今日もAIのアルゴリズムを設定する。
それが依頼人の救いになることを願って。
『よみがえらせ屋』は
「香り=記憶」という軸で
近未来のAI再現を描く快作です──!
上流階級の空気、家族の温度差
ビジネス倫理が一本の糸でつながり
読者を静かに締め上げます。
主人公・女子高生AIエンジニアの
色葉のプロ意識と、玲央の繊細な矜持
そして〝裏側〟を抱える璃久の無垢さが
三角形の張力を生み
会話だけでドラマが進む場面も
こちらの心拍を上げる──
技術設定は嗅覚データやログの遅延など
〝具体〟として提示され
SFの説得力とサスペンスの推進力が両立。
暴力に傾く手前で
必ず倫理の線を示す語り口が
作品の品位を保っています。
番外編~第一・二章にかけては
友情と祈りが物語の芯を温め
のちの選択に納得を与える
〝感情の貯金〟が秀逸すぎです!!
依頼人の登場は格調と俗悪が交錯し
次章への不穏な約束を残す──⋯
総じて
キャラクターの視線と匂いが導く
〝人間の再会譚〟!!
エンタメの速度を保ちながら
読むほどに
倫理と愛の定義を自分に突きつけてくる⋯
晴久様の「よみがえらせ屋やってます」は、単なるAI技術や倫理の限界を語る物語ではありません。むしろ、ページをめくるごとに、“人が人を想う”ということの本質に、そっと触れさせてくれる作品です。
亡くなった人を“再現”する未来的な設定でありながら、物語の中で描かれるのは、愛や祈り、赦しといった、どの時代にも共通する深い想い。その一つ一つが、とても優しく、時に切なく心に響いてきます。
AIがもたらす温もりは、果たして「模倣」なのか、それとも「本当の継承」なのか──。その答えは、きっと読者ひとりひとりの胸の中で、静かに問いかけられるでしょう。
「AIと人間の心」というテーマに興味がある方はもちろん、少しでも“誰か”を想ったことがあるすべての人に、そっとおすすめしたい作品です。
16歳の玖城色葉(くじょう・いろは)AI構築アルゴリズム世界大会で1位を獲得した天才女子高生。彼女の「親友」であり、婚約者でもある柊玲央(ひいらぎれお)、そして優しさと純真さとを傾ける彼女の弟・璃久(りく)。この三人が中心に展開される近未来SFです。
彼女には密かに請け負っている仕事がありました。それは「よみがえらせ屋」と呼ばれ、最先端AIテクノロジーを駆使して亡き人や動物の記憶や感情をもとに、限りなく“本物”に近い再現体を生み出すことを生業とするもの。人間の生命倫理の側面から神の領域に踏み込んだ存在でもあり、ただならぬ予感を抱かせます。
もう一度、今はなき愛するものに会える。
依頼人の思いに寄り添う色葉と玲央。そして和ませ役ともいえる心優しい璃久。そして思い人の歓喜。順調と思われたその先で、私利私欲に塗れた混乱の事態が。
心を大きく揺さぶる強烈なダークサイドに持っていかれる衝撃的な展開も見逃せない。
光と闇は愛と欲によってもたらされるのか。
人間の心の奥底に眠る真実が現実の波紋となって呼び寄せる、近未来SFの枠を超えたヒューマンドラマです。