政争に翻弄され、叶わぬ想いに身を焦がして散った儚き命に、胸打たれて——

古代ロマンの荒波のなか、政(まつりごと)や戦に人生を翻弄され、命を落とした人々がいます。
その運命の果てに、私たちが生きる現代があり、彼らの犠牲の上に国が築かれてきたのだと思うと、胸が締めつけられるような思いがします。

第一章「十市皇女の悲憤」を読み終えたところですが、豊かな情景描写と深い知識に裏打ちされた筆致が、歴史の大河の中に自分も呑み込まれていくような感覚を与えてくれます。
この先に待ち受ける、大津皇子の物語。どのような展開が描かれるのか、今からとても楽しみです。