彼女はここにいない

中学時代のいじめをきっかけに、引きこもりになってしまった宮田まな。
地元・熊本の田舎町で、唯一の支えである父と静かに暮らしながら、少しずつ日常を取り戻していた。

そんなある日、まなのもとに届いた一通の手紙。
それは、中学時代の同窓会の招待状だった。

忘れたはずの過去。思い出したくもない記憶。
けれど――何かが変わるかもしれない。

「行ってみよう」そう決めたまなは、同窓会の会場へと足を踏み入れる。
だが、そこで彼女を待っていたのは、懐かしさでも友情でもなかった。

やがて明らかになる、ひとつの“違和感”。
過去と現在がゆっくりと交錯し、封じ込められた真実が顔を覗かせる――。

すべてを信じていた。あの人の優しさも、この世界の形も。
けれど、わたしは何も知らなかった。