正しい資質
- ★★★ Excellent!!!
身も蓋もない言い方をすれば、彼一人が災害の現場で奮闘したとして、どれだけ事態が好転したか分からない。
いや、たぶん…恐らく何も変わらなかっただろうと思う。
確かに被災地で、人が死んでいる現場でシャッターを切るという行為は決して気持ちのいいものではない。
被害者からすれば明確な敵であろう。
しかし、その現場で見たことを記録(あるいは記憶)できるのは、その場にいた本人だけであることも事実だ。
彼を責める権利があるとするなら、それは被災地で被害を被り家族を喪った者たちであろう。
だが、その時の記憶をもっとも色濃く伝えてくれるのも、また彼である。
記録とは非情だ。
その内容が理不尽であればあるほど、後世の教訓になり得る。
彼は自らその責めを負うことを受け入れた。ならば、もう我々部外者のするべきことは責めることではない。その役目は遺族が引き受けてくれたのだから。
我々のすべきなのは
その記録の意味と価値を正しく理解し、後世に向けて、今行動を始めることであろう。