第15話:「アスフォデルスの取り扱い説明書15・拒絶は許さない」


「生きてる奴ー、点呼ー。 一!」

「二じゃ」

「三です!」

「……………………うー」


 死脳喰らいとの死闘が終わり、ユーリーフが一先ず回復をかけ終わった直後。バルレーンが点呼をかける。己(おれ)は、何とか気力を振り絞って答えた。


「皆、お疲れー! 正直、ボクちゃん……出血多量で死にそうなのと、歳食って今自分の顔がどんな風になってるのか考えたくないから――これは空元気だ!」

「ん! ん!」

「……おいアマ、貴様一体全体何やってんだ?」

「あぁ、宝の山じゃ……思わず一秒で三十五回くらい達してしまったのじゃ……遊楽地に来たみたいじゃ……」

「爽やかに喜んでくれる? お下品な人って、パーティーにいられると困るのママ」

「うるせー! いつまでも子供だと思うななのじゃ、喰らえ! この鏡の一撃をよぅ!」

「ぎゃああああああああ! 化粧品全部一段階高いのに変えなきゃ!」


 そんな中で、一際大きな姿見の前でアスフォデルスは十字魔法銃を片手に笑みを浮かべて立っていた。いや、何かを話しているらしい。耳を澄ませると――


「“よくやったね、アスフォデルス。あの魔族を倒し、生き残る事が出来た”」

「そんな、師匠褒められる事じゃ……もう無我夢中で」

「“命の危機をきっかけに偶然肉体と知識の歯車が合った。心拍と血圧が上がる事を代償に、思考力と計算能力が爆発的に上がったのがあの一射なんじゃないかな?”」

「やっぱりそっか、アルンプトラ。お前の見立てなら、間違いない」


 アスフォデルスは鏡の前で何かを呟き続けている。時に笑い、時に怒り、時に泣く。

 じくり、と心が痛んだ。多分それは今はいないファルトールとアルンプトラなんだろう。己達の誰も見ていなかった。その時、バルレーンが数瞬息を呑んだ後。彼女に話しかけた。


「よ、お疲れさまアスフォデルス!」


 その声にぴくりと一度短い身震いをすると、鏡から首だけを向けて彼女は赤髪の女盗賊を見る。しばし見つめた後、彼女は掠れて乾いた声音で答えた。


「……えぇ、お疲れさまです」


 鏡の時とは打って変わって、声はただ単に言われたから返したという具合。ぎゅっと彼女は十字魔法銃をぬいぐるみの様に抱き締める。


「それが、君の元の姿かい?」

「えぇ、完全とは言えませんが」


 その時、氷が割れる音が一つ。


「あ、ダメ! 嘘、そんな!」


 それは罅割れの音だ。聞こえるなり、アスフォデルスの金色の髪がくすみ、徐々に茶色に。瞳も淡褐色から元の青に。

 隕鉄の赤も、まるで火を消されたかの様に抜けていく。


「あぁ、もう! やり過ぎましたか! ……あぁ、魔力が抜けてく」


 どうやら力と姿はまだまだ不完全らしい。胸の賢者の石も、前よりかはかなり治ったが未だ薄い罅が残っていた。


「あぁ!」


 白煙を放ちながら姿を惜しむ様は、さっきの上辺だけの返答の何倍も人間らしかった。

 ――一しきり嘆いた後、彼女は水を思いっきり飲み干す。それは熱くなった鉄を冷ます様にも似ている。

 手の甲で滴を拭いきると、バルレーンは頃合いと判断して再び話始めた。


「その、とりあえず……体を再度直すにしてもさ、工房結構壊れちゃったけど大丈夫?」


 ファルトールの工房は酷い有様だった。天井の配管からは蒸気や漏れた霊薬が至る所から漏れ、落ちた歯車が無数に転がっている。正直、これから再び動かしていいのか不安になる。


「そうですね、とりあえず目につくとこは修理しましょうか……」


 彼女はそう言うと、水晶の卵の前に行くと少しばかりの間を開け目星をつけレバーを前に引いた。

 がこんという音がして、工房の歯車が一回転すると次に己達の前の床から二メートル程の長方形の箱が下から現れる。次いで箱に仕掛けられた糸が巻き上げられる音がすると、正面の蓋が観音開きに開いた。現れたのは百八十センチ程の五体を持った人形達。歯車が駆動する音をさせ、彼等は箱の中から出ると次々工房に散らばり、壊れた箇所を修復し始める。


「自動人形と言います。これだけ広いとメンテナンスが必要ですし、それなら人型がいい」

「……これの設計図、物珍しさから良いお金になるだろうね」

「売らないでとっぴして欲しいのじゃ」


 自動人形が工房を直す間。とりあえず、アスフォデルスは今まで身に着けていた服を着直し髪を梳かして身支度を整える事にした。

 途端、鏡の前で呟く声は曇る。その茶色い髪を彼女は前髪を無造作に右手で掴む。


「こんな、貧乏臭い色……本当嫌だ、なんで髪と目だけ」


 その怨念が、口から迸る。

 ……彼女は貧乏臭いというが、己は彼女のこの茶髪が好きだ。ずっと変えて欲しくない。

 顔だって、前の方が好きだ。目だって青い瞳のままであって欲しい。そのままのアスフォデルスでいて欲しい、ずっとそのまま。……そんな己の心を知ってか知らずか、彼女が髪を掴んだ右手がするりと降ろされ。


「こんな目、本当に嫌だ……あぁ、なんて忌々しい……」


 じくり、と心が痛んだ。

 伝えたい事は本当に一杯あるのに、この人へそれが伝わる事はけして無い。もし仮に言葉が話せたとしても、手紙にして思いを綴ろうとしたとしても、このぐるぐると回る気持ちを……衝動を果たして言葉に出来るのだろうか。


 もしも己が、貴方の■■と告げたら。もしも――


『嫌いな■で■■■じ■■いのに■人を■■る物が……』

 その言葉を思い出した時、背中のそれが疼く。己は咄嗟に思わず手を離してしまった。愛されたい? 己が? 無理に決まってる、今でさえ薄い氷の上で成り立ってる関係なのに。

 この人とはもう会わない事にしよう、これはお互いを蝕む毒だ。……そこで不意にアスフォデルスが何かに気付いた様な素振りを見せる。

 視線の先には――アストロラーべ。


「そうだ」


 途端、彼女は嬉しそうに笑った。それはさっきと一転してぞっとする程に。


「なんだ、簡単な事じゃないですか……全部簡単に解決出来る。あぁ、本当に本当によかった……ここに来て本当に良かった」


 上機嫌、というより意味の分からない言葉を反芻するのに響きは近い。嫌な感じがする。


「アレがあれば、師匠に……師匠に会えればこんな髪と目なんてすぐに……」

「それで、結局今は一体全体どういう感じなんだい?」


 そこでようやくアスフォデルスは平静を取り戻した。空かさずバルレーンが拾う。アスフォデルスは先生だ、教える事が好きだから質問すれば簡単に話題は逸らせる。


「出力が足りなかったから不完全な精製になりました。完全復活には少し遠い、という感じです。調子に乗った所為で、魔力も魔術も再び使えなくなりました」

「ありゃま、そりゃ残念。治るのそれ?」

「えぇ、今回で土台は治りました。生命維持には十分です、……一段落と言った所ですよ」

「なるほど、――やったねユーリーフ君また口論が出来るぞ!」

「よっしゃあ! 次はボコボコにしてやりますからのう!」


 それが口火だった。

 ゆっくりと終わりが近づいて来るのを感じた。……そうか、もうこれで終わりなんだ。瞳に映るアスフォデルスを見ると、舌に口惜しさが残った。

 奥歯を強く噛んで哀切を圧し殺す。それから二日目には土饅頭の外に出ていた。

 無限に赤く焦がす夕焼けは、醒めていく夢の名残の様で。


「ンアーッ! まったく今回は妾、大活躍じゃったの! 特に土壇場で作った超音波ねじ回し、あれはまさしくファンタスティックな出来じゃった! のう、アスフォデルス殿……何か言う事はないかの?」

「出力の調整と携行性に難あり、機能と着眼点、技術の応用力は及第点……おまけにおまけして五十六点って言った所でしょうか。あ、六点はご褒美です」

「助けてもらってこの言い草! 本当人として好きになれんのじゃ!」

「次の課題はこの魔法銃ですよ。これを部品数まで理解し再現出来たら、年度末の落第だけは勘弁してあげます……我ながら大奮発です」


 相変わらずユーリーフとアスフォデルスの二人は仲良く喧嘩してる。


「師匠の石はもう万全に動かせます。使い方は教えた通り。では水薬の抽出は?」

「石と清水を特製の甕に入れて、一昼夜寝かす! のじゃ」

「いいでしょう、追加で一点」

「一点だけかよ! なのじゃ!」 


 山道を下ると木々が減り、やがて遠く離れたその先にイシュバーン市街を囲う外壁が見える。


「それじゃあ、私はこちらなんで」


 自分の身長より遥かに大きい十字架を背負い、とうとうやって来た分かれ道に彼女は己達と真逆の方向を向く。


「お別れか。……これからどうするんだい?」

「このアストロラーベを持ち帰り改良し、師匠の居場所を探し出します。それと並行して、まだ魔術も魔力も使えない状態ですので、装備を改善しようと思ってます」


 一息置いて、彼女は淡々と言葉を続ける。

 アスフォデルスの左脇にはアストロラーベが抱えられてる。


「この中には師匠の髪や血が入ってて、師匠の魔力と今も同調してる――師匠はまだ生きてる!」


 屈託のない笑顔でアスフォデルスは続ける。


「これを改良すれば、師匠に会える! 早く迎えに行かないと、今度こそ私は師匠と一緒に暮らすんです!」

「そうかい」

「――それで、まず髪を貰うんです!」



 誰もが一瞬、ぎょっとした。



「…………はい?」


 バルレーンが思わず言葉を漏らす。それに構う事なく、彼女は言葉を続ける。


「この体は師匠の髪や爪を最初に素材にしたんです! 髪の色と瞳の色、それに体型を戻すのに――師匠には鮮度の高い髪と爪を貰わないと! できれば血も、髄液も! あぁ、夢が広がります!」


 それは、血肉を啜る亡者と何が違うのだろうか。彼女の愛が急速に生臭い物になっていく。

 ふと見ると、ユーリーフの顔が信じられない物を見る様にひきつっていた。バルレーンは何かを見定める様に右手で顔を隠しながら、その様を見守っている。


「だって、師匠はお母さんだから! 私を救ってくれる! 私を助けてくれる! お願いしたら血も肉も分けてくれる!」


 その言葉はあまりにも純粋無垢で、何も疑っていない。本当にファルトールは今でも自分を愛して救ってくれると、心の底から信じている。

 顔は始めてみるくらい、キラキラした笑顔で……気付くと、ぬいぐるみのガンプは腕の中にいる。


「やる事は山積みですが、筋道は見えてます。……箱庭村を再建するまでの間、少々貧乏暮らしを強いてしまうのは心苦しいですが――でも師匠だったら、もしかしたらそれすらも救ってくれるかも!」


 アスフォデルスが、狂っていく。救いに、狂って堕ちていく。


「ここに来て良かった。ここには希望があった、貴方達と会えて本当に――」


 乾いた音の残響はいつまでも。己は……気付くと、彼女の頬を叩いていた。


「へ……え?」


 一体何が起こったのか全く解ってないまま、アスフォデルスは咄嗟に右手で頬を押さえる。己はその隙を突いてアストロラーベを奪うと、明後日の方向へ放り投げた。


「のじゃ!?」

「……おバカ」


 ユーリーフの驚く声と、バルレーンの呆れた声がそれぞれ。当のアスフォデルスはしばし理解が追いついておらず、呆けた様に投げ捨てられた軌線を見つめると……そこでようやく状況を理解したらしい。


「な、何するんですか!?」


 草むらに放り投げられたそれを取りに行こうとした所を、己は右の手首を掴んで止める。

 おかしくなってると思ったから。これじゃファルトールがまるでアスフォデルスの言いなりみたいだから。せやなそやなで、何でも言うことを聞いてくれるファルトールじゃないだろう。


「ど、どうしてこんな事するんです! 離して! 離してったら!」


 でも、己の思いはいつも通り伝わらない。ただ、それが酷くもどかしい。……アスフォデルスの匂いが変わる。困惑から怒りの匂いに。


「なんで邪魔をするんですか……ファングインさん?」


 多分、ファルトールはきっとアスフォデルスのそういう所に疲れてしまったんじゃないだろうか。

 アスフォデルスはファルトールに救いを求めすぎてる。まるで神様に頼る様に。それに本当に愛してるなら、そもそも離れないだろう。


「あー、アスフォデルス。ファンもさ、別に悪気が……」

「悪気しかないでしょ、これ!?」

「……ごめん、これのフォローは無理だよファン」


 バルレーンが申し訳なさそうにそう言う。でも、構わない。今の彼女は、ファルトールの元に行ってしまったらきっと駄目になる。

 行かせられない。あぁ、言葉が話せれば事情が伝えられたなら……アスフォデルスの匂いは怒りが増す事に冴えた物に変わっていく。


「邪魔……本当に、本当に邪魔」


 怒りが頂点に達した時、冴えた香りはむせ返ってしまう程。アスフォデルスはその青い瞳を大きく見開くと、己の腕を無理矢理振り解く。

 筋力増幅装甲服が軋んだ。そして背中に背負った小さなスターゲートのコイルが回り、その隕鉄が赤い鬼灯の輝きを灯す。

 右肩に担いだ十字魔法銃が、その銃口が己を睨む。


「邪魔をしないで下さい――師匠が私を待ってるんです」

「ちょ、アスフォデルス殿! 確かに剣士殿は悪いが、銃はやりすぎじゃろ!」

「師匠に会う……それを邪魔する人は、誰であっても容赦はしない」


 じっとりとした嫌な間が空く。脂と戦慄が混じった汗を一筋垂らしながら、ユーリーフは乾いた声でぽつりと囁く様に。


「……本気で、言っておるのか」

「ええ、本気ですとも。それとも、まさか友達ごっこに情でも移ったんですか? 嫌いなんですよ、友達面して邪魔をする人が……アルンプトラ含めてね」


 そのあまりの言い様に、ユーリーフはとうとう言葉を失う。一拍の間を置いて振り絞ったのは、彼女が操るゴーレムよりも冷たい言葉だった。


「…………やっぱり妾、そなたの事嫌いじゃ」


 それに対し、己は――


「……え?」

「ちょ、ファン!?」

「剣士殿!?」


 アスフォデルスの怒りが瞬間飛ぶ程、バルレーンが慌てる程、ユーリーフが困惑する程だ。

 己はその十字魔法銃の銃身を掴むと、自分の頭に突き付ける。狂気から醒めて欲しいと直感でそう思ったから。

 ――遅れて一瞬、もし引鉄を引かれたらどうしようと思った。

 もし、正体がバレたら。そう思った瞬間、思わず銃身を掴む手が弱まった。

 アスフォデルスの顔が沈んでいく太陽に隠れる。降りていく夜の帳を背にした彼女は、まるで闇の世界に取り残された狩人の様に見えた。


「……魔術師は、借りを返す」


 呟きは呻く様に、自らに言い聞かせる様に。影の中、奥歯の砕ける音が一度して――銃口が下がった。


「…………それでも貴方達には、返せぬ恩がある。だから、殺すのだけは……でも、もうこれきりです」


 身に余る程の十字架を背負い直すと、彼女は己達から背を背ける。


「私、こっちの道ですから……さよならです」


 草むらに入って、投げ捨てられたアストロラーベを拾い上げると彼女は己達の元から去っていった。

 それで誰も、何も言えなくなってしまう。これがこのパーティーの最後だった。ゆっくりとアスフォデルスは何もかもを飲み込む太陽の方に向かっていく。

 そこで耳を擽るのは――


「貴方さえ、貴方さえいれば生きていける……そうです貴方さえいれば、私は幸せになれるんです」


 自分に言い聞かせる様な声音。

 アスフォデルスが話す一言ひとことが、縁の糸が切れていく様な気がした。鋭い、何もかも切っちゃう鋏が因果を断って行く。でもこれでいいんだと思う。

 さよならは言った筈だ、別れた筈だ。仲違いなんて、願ってもない事じゃないか。


「みんな、みんな酷いんです。おかしな事を言うんです、私の愛は狂ってるって」


 言い聞かせる様に、縋る様に。


「言いたい事はいっぱいあります……でも、いい。戻ってきてくれれば、それで……」


 亡者の愛が叫ばれる。いつだってアスフォデルスの目は、ファルトールしか映っていない。

 もうアスフォデルスは誰も見ていない。バルレーンも、ユーリーフも、己も。

 …………心がかきむしられる。

 声にならない、積み重なる思いを押し殺す。歪んだ声帯が疼くが、それを何とか抑え込む。


 でも、あぁ――


「私を愛してくれる人なんて、もう師匠しかいないんです」


 そのあまりにも己の事が眼中にないのを見て、どんどん心が苦しくなって辛くなって我慢が出来なくなって――そこで、頭が真っ白になった。


「まずは、居場所を特て……え?」


 ……気付くと、己は背後から駆け寄り、あの時と同じ様に抱き締めていた。

 やっぱり、やだ。

 離れたくない。ようやく会えたのに。


「剣士殿!?」

「何をするんですか!? 本当、い、一体なんなんですか!?」


 彼女は再び怒り狂い叫ぶ。

 でも、こんな終わり方は嫌だ。

 この人の心に残りたい。

 知ってほしい、解ってほしい、ここにアスフォデルスを愛してる人がいるって事を。

 あんな事、己だってしたくない。悪いのはアスフォデルスだ、あんな事を言うから。己はただ、端から見てるだけで十分だったのに。

 そうだ。全てを忘れて、汚い物に蓋をして、幸せに生きていこう。


 ファルトールなんて知らない。さっきの仲違いなんて時間が経てば、何も言わないまま助け続ければ、愛してるって事がいつか伝わって、きっと綺麗な己を好きになってくれる筈!


 この百合の血の秘密も、何も喋らなければいい。黙っていればわかりっこない……バルレーンがその赤瑪瑙の瞳で、それでいいのかと無言で問う。

 いい。もう誰にも止められない。

 どうせなら、このまま連れ去って……。

 そう思った時。それを止めるのはただ一つ。

 ――お願い、通して?

 じくりと痛むのは救えなかった死脳喰らいの事。救えなかった……止めを刺した彼。それで、するりと腕から力が抜ける。


「な、なんなんです……本当に、本当になんなんですか……?」


 そうだ、死脳喰らいの事を忘れるな。己は、彼の最後の願いすらも断ったのだ。それにあの時、彼女の身より自分の保身を優先してしまった。今さら自分に彼女を抱き締める資格があるのだろうか?

 怯えた彼女の青い瞳は照魔鏡の様に己を映す。何もかも見透かし暴く様に。そこに映る己は――


 もう一度手は、伸ばせなかった。


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