その時代にいたなら、私はどうしたか。静かなる問いを突きつける物語
- ★★★ Excellent!!!
本作が描き出すのは時代や大きな自然の脅威に晒され、分からないことに怯え、迎合することで安心を得ようとする人々の闇。善意と無知が隣り合わせであるという現実。その中で静かに、しかし確実に犠牲となる子供の姿が、読む者の心を深く抉ります。
情報が乏しく、調べる術も限られていた時代。疑いを持つ余地さえ奪われていく状況の中で、人々が信じ込まされ、行動してしまったその「正義」は、果たしてどれほど恐ろしい結果を招いたのか。
ですが本作を読んで、私はこうも思うのです。果たして私自身がその時代にいたとして、「正しさ」を見極められたのか──と。
登場人物たちの優しさがかえって物語の悲劇性を際立たせ、読む者を置き去りにするような虚しさすら覚える読後感でした。静かに、確実に胸を抉っていくような余韻に、今なお立ち尽くしています。
この度は素敵な作品をありがとうございました。鬱々とした物語に耐性があるのであれば、とてもおすすめの作品です。