第26話

「蓮斗、俺が買っておいたノート何処置いた?」

「悠斗が洗濯物を中に取り込んでくれたら出すよ」

夏休み前の七月。窓の外では爽やかな風が吹いている。

最近は、リビングで二人が賑やかにしているのもよく見る光景。

(よし、、、こんな感じかな?)

キッチンで、私は用意したトレーに、たった今焼き上がったものを乗せる。

「未来、さっきから何作ってんだ?シュークリーム?」

「うわっ!悠くんか、、、」

すると今度はカウンター越しに、蓮くんがひょっこりと顔を覗かせた。

「甘くて美味しそうな匂いがしていたんだよね〜」

「美味そうな匂いだったな」

「あ、悠くんストップ!」

いつの間に背後にまわったのか、背後から伸びてきた悠くんの手を咄嗟に阻止。

危ない、危ない。本当に油断も隙もないんだから。

「とりあえずこれは、テーブルに持って行くからね」

私はリビングに移動して、出来上がったばかりのホットケーキを机の上に並べた。ホットケーキの上にはカスタードが乗せてある。

「お願い、覚えてくれてたんだ、、、!」

「カスタードはシュークリームの皮をを作ろうとして失敗したやつか」

「カスタードなら作れるんだけど、、、悠くんの好物は作れなかった」

いつか、シュークリームが作れるようになると良いな〜。

二人が集まってくる。ホットケーキでの誘導作戦は成功だ。

「実は、ホットケーキを食べる前に二人に見てほしいものがあって、、、」

そして、ポケットからあるものを取り出し、二人の前に差し出した。

「「悠くん蓮くんプラス未来の同居ルール。改正版?」」

二人の声がピッタリ重なる。

私は、そこに書いてある項目を読み上げた。

★その一、洗濯物は各自で畳んでタンスに仕舞うこと。

★その二、自分の荷物は自分の部屋に仕舞うこと。

★その三、冷蔵庫に入れた自分の物には名前を書いておくこと。

★その四、一緒に暮らしていることは学校では絶対に秘密!

そして最後は―――

「★その五、三人で協力して生活すること!」

全てを言い終えた私は、改めて二人の顔を見た。

初めは不安しかなかった同居生活。

でも今は、三人でいる時間が楽しい。

沢山悩んで、沢山迷って、、、。

もうダメかもって何度も思ったけど。

今はそうやって悩んで迷った時間も、大切に思えてくる。

「このルール、どうかな?」

尋ねながら、二人をチラッと見る。

すると二人は満面な笑みを浮かべた。

「うん、良いと思うよ」

「だな」

「これからも、よろくね!」

悠くんが入れてくれた、砂糖たっぷりのミルクティーを持って乾杯!!

目を合わせて笑いあったら、これからも沢山の”幸せ”に出会える予感がした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

泡沫ユートピア 安達夷三郎 @kitahina1208

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画