【三題噺 #88】幽霊がいます

俺が小学生のとき、DSが流行ってたんよ。

今じゃスイッチとかスマホゲーが中心になってるけど、あの頃はゲームといえばDSとWiiとプレステが中心。それかゲーセンくらいか。

そこまで田舎でも都会でもなかったけど、小学生だったから歩いて行ける範囲がだいたいの行動範囲でさ。

交友関係も狭くも広くもなかったから、外で遊ぶのも家に遊びに行くのもやってたけど、結局家でゲームが多かった気がする。周りの友達もDS持ってて、ポケモンとかが流行ってたな。

そんな子供時代、俺らには秘密基地があった。

秘密基地って言っても、基地というより隠し場所。それの場所が今思えばクソガキだったなって思うんだよね。まぁ俺が考えたんだけど。

DSが流行ってたって言ったけど、割とクラスの半分くらい持ってたんだよね。それでカセットの交換とかやってた。でも学校ってゲームの持ち込み禁止で、先生から隠れてとかダルいじゃん？だから、どっか大人にバレない場所に置いといてみんなで共有しようって計画したんよ。ルールもちゃんと作ってな。

その時に俺が、共有場所に選んだのは祠の裏。

学校近くにあって、大人にバレない。ほったらかしにされてた小さな家みたいな普通の祠。

扉みたいなもんがあって、屋根も瓦だったし、これ隠し場所にいいなって思ったんよ。

バカだなぁって今考えても思う。

あの時は、いい場所見つけた俺天才とか思ってたな。ほんと絵に描いたようなクソガキ。

それでさっそく家に帰って、お菓子の詰め合わせかなんかが入ってた缶の箱があったから、ノートとペンとカセットケースを二つ詰め込んで、その祠に入れに行った。

なんか木牌？みたいなのが入ってたけど、どうしたんだっけ。ちょうど押し込んだらいい感じにハマったんよね。

ルールもその時に決めた。

①ノートに貸す人と借りる人を書くこと

②返す期限を書くこと

期限が伸びる場合は、それも書くこと

③借りたらサインすること

④貸すなら白のカセットケースに入れること。返すなら黒のカセットケースに入れること。

だいたいこんな感じ。ただ、これ設置した後に爪が甘かったことがわかった。良い方に、いや悪どい方に。

ちょうどDSのカセットをコピーできるカセットが一時期流行ったんよ。この計画をみんなに報告したら教えられた。

知るかよクソって思ったわ。

バチ当たりとか注意してきた友達の意見も聞こえずにな。

それで方式を変えた。共有するのはコピーされたカセットのみ。コピー用のカセットはみんなでお金を出して一個ずつ買った。それでカセットケースも透明なやつを箱に入れた。

変更になったのがこのルール

①コピーしてもいいカセットを白のケースに入れる。

②コピーしたら元のカセットを黒のケースに入れる。コピー済みのカセットを透明のケースに入れる。

③コピーされたカセットに入ってるゲームをノートに記載すること

④借りる時は名前と返却日を書くこと

だいたいそんな感じ。コピー用のカセットには番号をそれぞれ書いて管理してた。カセットケースのスロットが八つだから八人に声かけて、それがいつメンみたいになってたな。しかも秘密の共有してたから結束は高かったと思う。

ちなみにそのあと結局、貸し借りもしたいとかなっていろいろルールがめんどくなってた。

俺が抜けたあとのことだから知らんけど。

抜けた理由が本題。

この共有カセットは割と円滑に進んだ。ルールがよかったとか俺は思ってたけど、普通にお互いに都合が良かったからだよな。借りパクして仲間外れにされるよりは、ルール守って甘い汁啜ってた方がいいし。

そんなんはいいから何が起こったかって話だろ。俺が借りたカセットに変なのが混ざってたんだよ。ちゃんと確認したのに。

そんで、コピーしたやつもわかってたし、その前に借りたやつにも確認しても、なんもやってないって言われたし、変人扱いされた。

だから抜けたって話。

正直書きたくねーな、これ。

まぁ言ったからな。俺は悪くねーから。

カセット入れて起動したら、すぐRPGの画面になってた。タイトルは、元のゲームのまんまだったのにな。

今で言うマイクラとか最初言ってたポケモンみたいな感じ。フィールドがあってそこを移動するみたいな。気持ち悪かったんはその場所が俺の家そっくりなんだよ。一軒家の俺の家そっくり。いろいろ移動してみるんだけど、広さとか家具の位置が一緒なんよ。あいにく操作方法は他と一緒だったから、俺は混乱しながらゲームの中で家を歩き回ったよ。そんで、やっぱ棚とかクリックするとアイテムゲットできるじゃん？そういう感じで、リビングの棚をクリックしたらこんなんが出てきた。

『幽霊がいます。』

なんかめっちゃ怖かった気がする。そんでいたるところクリックするんだけど、どこをクリックしても同じ表示。そんでゲームしてる俺の部屋にも行ったら、俺と同じ格好したアバターがいた。嫌な予感がしてても止まれないんだよな。そう言う時って。そのアバターをクリックしたら違ったのが出た。

『取り憑かれています。新しい家をありがとうございます。』

そのままビビってDSをぶん投げた。運がいいのか悪いのか、棚の角に当たって俺のDSは壊れた。親には散々怒られたけど、もうやる気はなかった。修理もせずに捨てたよ。他のカセットは売って、コピーされたカセットだけ共有カセットケースに戻した。そのままさっきの通り、喧嘩して俺は抜けた。

ひとりだけ、それでも仲良かったやつがいたから、管理の引き継ぎだけはしたな。そのあとのルールの変更とかもそいつがやったんよ。

怖い話はこれで終わり。あのあとはめちゃくちゃビクビクしてたけど、なんもなかったよ。ってか中学にあがる段階で引っ越しできたのもよかったし。その引っ越しも意味わからんかったけど、理由教えてもらえんかったし。

まぁバカなことしたらバカな結果が待ってるよなって話だ。以上。

追記：あの事件とか関係ありますかとか聞くな。俺は知らん。関係ない。