第6話 エピローグ(再会の瞬間)

101日目 - 朝


カフェ〈ノクターン〉のドアが静かに開いた。


エリカはカウンターの奥に立ち、深く息を吸い込む。夜が明け、新しい一日が始まる。しかし、心の奥に残る昨日の記憶が、胸を締め付ける。


——彼は、もう私を覚えていない。


その事実を理解しながらも、希望は消えていなかった。


「初めまして。」


低く落ち着いた声が響く。


エリカは顔を上げた。


銀糸のような髪、漆黒の瞳。ルシアンがそこにいた。


「君の名前を教えてくれる?」


まるで、100日前と同じように。


エリカは微笑み、震える声で答えた。


「エリカよ。」


ルシアンはわずかに首を傾げる。


「エリカ……いい名前だね。」


その言葉に、エリカの目から涙がこぼれそうになる。


「……また、会えたわね。」


彼は何も言わず、ただ微笑んだ。その表情が、どこか懐かしく見えた。


たとえ記憶が消えても、二人の物語はまたここから始まる。


カフェの扉が、そっと閉じられる。


——これは、終わりではなく、始まり。




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シルバーロマンス Algo Lighter アルゴライター @Algo_Lighter

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